「そう……これだよ。私が見たのは」


ガラッと開けると、引き出しには水族館の名前が書かれた包みだけが入っていた。

そっと手に取り中を開けてみると、袋の中にルカと同じ、『しあわせを呼ぶ砂』と書かれた小瓶のキーホルダーが入っていた。


「……普通に渡してくれれば良かったのにな」

「斗真さんも素直になれなかったって事だよ、きっと」


ルカの言葉に、僕は自然と涙があふれだして、泣きながら笑ってしまった。

お互いに言いたい事を言い合えていたのなら、兄貴とも両親とも、もっとまともな時間を過ごせていたのかな。

どんなに後悔しても、そんな時間は取り戻す事はできない。

だからこれから、そんな事がもう二度とないように生きていかなければならない。

けど、両親のあんな本音を聞いちゃったから、恥ずかしいというか何というか、逆に緊張しちゃうな。

小学生の時はどんな風に振る舞っていたっけ……?


「どうしたの? 難しい顔しちゃって」

「いや……親とどう接していいか、わかんなくて」

「今まで背を向けてたから、気恥ずかしいよね。でも、少しずつ歩み寄っていけばいいんじゃないかな? ちゃんとご両親はわかってくれるよ」


フフッと笑うルカに、それもそうかと僕は頷いた。