僕は、握りしめていたメガネを祭壇に置き、よろよろと立ち上がる。

そんな僕の姿に不安に思ったのか、ルカが歩み寄る。


「……悠真君?」

「兄貴の部屋に行かないと。上から二段目の引き出し……だったっけ?」

「あ、私も一緒に行っていいかな……?」

「いいよ、一緒に行こう」


笑顔で頷くと、ルカは僕の手をとりギュッと繋いだ。

恥ずかしくて一瞬戸惑ったけれど、そのままルカを連れて部屋を出る。

階段をあがり、二階の一番奥にある兄貴の部屋のドアを開ける。

主がいないにも関わらず清潔感があって、いいにおいがするこの部屋。

母さんが毎日掃除しているせいでもあるだろうけれど、生きている時から兄貴が綺麗にしていた証拠。

そういうところも手を抜けなかったんだろうな。


「すごく綺麗な部屋だね」

「……僕が出入りしてた時からずっと綺麗だったよ」


部屋を見渡しながら呟くルカに答える僕。

脱いだ服とか、読みかけの漫画とか、散らばっていた記憶が全くない。


「上から二段目……ここか?」


机の前に立ち、上から二段目の引き出しに手をかける。

開ける前にルカと顔を見合わせ、目が合うと二人で同時に頷いた。