かなり驚いた顔で父さんが僕に聞いてきた。


「……もう今さらだから、気にしなくてもいい。実際、兄貴と僕は違いすぎるから」

「そうやって悠真君も想いを声に出す事を諦めてた。周りから何を言われても、ただ無気力で、一度しかない人生を無駄に送って……。だから私は言いたかった。生きたくても生きられなかった斗真さんがすぐそばにいるのに、何で斗真さんの分までこれからの人生を前向いて力強く生きていこうって想いが家族の誰にもないのか。悲しんでばかりいて、過去ばかり振り返って、それが斗真さんにとって何になるというの?!」

「白石、少し落ち着け」


ヒートアップしたルカが、ボロボロと涙をこぼしながら悲痛な表情で僕らに訴えかける。

そんな彼女の姿を見るのは当たり前だけど初めてで、初対面である両親も唖然としたまま言葉が出てこないようだった。


「私だけじゃない。斗真さんが生きる希望となった方が他にもいる。どこの誰かわからないけれど、提供していただいた感謝をずっと忘れずに、みんな歩き出してる。亡くなってからも斗真さんはどこかで誰かの希望の光となってるのに、何でここの家族は……」


ルカの言う通りだ。

兄貴がドナーになったのは知らなかったけれど、兄貴が亡くなった事をいくら悔やんだとしても何の意味もなかったんだ。