「白石さん……? あなた、もしかして、斗真の……」

「突然のご無礼をお許しください。……ルール違反ではありますが、私は斗真さんから角膜をいただきました」

「斗真の角膜が……あなたに……?」


信じられない物を見たかのように、母さんは手で口を覆って涙をこぼした。

そんな母さんの肩を抱く父さん。


「いつもお手紙をありがとうございます。主治医の先生から、定期的にお手紙をいただいて、斗真はどこかで誰かの一部となって生きているんだって、いつも思っていたんです。いつかその方と会う事ができたらって、叶わぬ夢なんか抱いてて。でも、まさか本当にお会いできる日がくるとは……」


父さんの声も震えていた。

ちょっと待って……。

角膜移植の事は話さないんじゃなかったのかよ?

困惑する僕をよそに、すかさず先生は立ち上がって、ルカと僕の間に入り、肩を抱いた。


「……信じられないかもしれませんが、斗真さんが白石をここに導いてくれたんです。風見家に何かを伝えるために」

「斗真が……私たちに?」


父さんの問いかけにルカはゆっくりと頷いた。