しかも僕からは一度も訪ねた事がなく、全部先生からのお呼び出し。


「……私も油断していたので、落ち度はあったんです。でも、これを無くすわけにいかなかったので」


ルカがそう言って、先生に『しあわせを呼ぶ砂』のキーホルダーを見せる。


「あれ? これ、斗真が遠足の時に買ったのと同じやつだな。まさか、角膜と一緒にもらったのか?」

「んなわけないじゃないですか」

「冗談に決まってんだろ」


そんな冗談、ここで言える先生、すごいな……。

ため息をつきながらチラッとルカの様子をうかがうと、クスクスと彼女は笑っていた。


「実は、ルカが初めて見たシーンが、そのキーホルダーだったそうです。初めて見て以来、それからはずっと僕が怒っているシーンだったみたいなんですけど、それを見なくなった代わりに、またそのキーホルダーのシーンが見えたって……」

「は? 昨日、斗真の想いが通じたから、もう見えなくなったんじゃなかったの? 白石、まだ見えるのか?」


深澤先生も今朝の僕と全く同じ反応をした。

見えなくなったとばかり思っていたから、相当驚いたようで、ポカンと口が開いている。


「はい。お兄さん、悠真君の元にこのキーホルダーが届いていない事が心残りなのか、今も目を閉じると、見えるんですよ」


そう話しながらルカは目を閉じた。