「だから、マンションの前で明日の朝、7時50分に待ち合わせな」


転校初日にルカが僕に言った事をそのまま返す。

するとルカは笑顔で大きく頷いた。


「わかった! 絶対に遅れないでよ? 先にも行かないでよ?」

「ちゃんと待ってるから。ルカこそ遅れるなよ?」

「もちろん!」


その約束をして、僕はルカの母親に頭を下げ、深澤先生と白石家をあとにする。


「いやー、しかしこんな夢みたいな事ってあるんだな」


エレベーターで下におり、マンションを出た後、先生は自分の車に乗り込んだ。


「僕だってビックリですよ。こんな事、映画や小説の世界でしかないと思ってました」

「それほど、斗真の想いが強かったって事だよな。……あ、俺さー、話を聞きながら思ってたんだけど、あの空間で言える雰囲気じゃなかったから、今言っちゃうけど、斗真の想いが強すぎて、他の臓器移植した女の子が次から次へと転校してきて悠真がハーレム状態になったらどうしよう……ってさ」

「あの空間で言わなくて正解ですよ。そもそも何で臓器移植された人が女子高生限定になってるんですか」

「いやいや、可能性の話よ。大体、夢みたいな奇跡みたいな事が起きてるんだから、二度三度同じような事があるかもしれないだろ? 夢は大きく持とうぜ?」