兄貴の事を解決させたんだし、これからはもう僕に構う必要はないんだ。

今後もここに住み続けるのか、元の学校に戻るのかはわからないけれど、せっかく角膜移植して目が見えるようになったんだから、ルカはルカの人生を楽しまないと。


「……僕と一緒にいても嫌な思いするだけだろ?」

「悠真君は私にとって、友達第一号だよ? その責任はちゃんと果たしてもらわないと。悠真君と一緒にいて、嫌な思いなんか一度もしてないし。それに、私は悠真君と一緒に行きたいとこ、一緒にやりたい事たくさんあるんだから」

「おー。青春だね。アオハルだな」


僕とルカのやり取りをそばで聞いていた深澤先生がニヤニヤしながら茶化す。

何で同じ事を言葉を変えて繰り返したんだよ?

心の中で毒づきながらも、先生の事はスルー。

僕が何を言ったとしても、ルカは一度言い出したら聞かない性格だっていうのは、転校初日からわかってる。


「……7時50分」

「えっ?」


僕が不意に時間を言うと、ルカが聞き返してきた。