「わかるよ。だって、言葉を発しなくてもお兄さんの最期の瞬間まで見ていたから。車にはねられて、意識が遠のきながらも最期まで悠真君を見上げてた」

「それは……お前の望み通り消えてやるよっていう目で僕の事を見てたんだろ」

「違うよ。だって、その時にお兄さんから見た悠真君の顔は、消えてくれと願ったものじゃなかった。生きてくれって泣いてたものだったよ!」


……泣いてた? そんなわけないじゃないか。

冷たいと思われたかもしれないが、僕は一滴も涙が出なかった。

泣いてなんかいない、それはルカの勘違い……。


「涙が流れないから泣いていないっていうわけじゃないんだよ。心の中で泣き叫んでたようにしか見えなかった。それに、悠真君は謝っているようにも見えたよ。だから、お兄さんにも伝わってる。恨んでなんかない、その逆だよ。お兄さんは、気にするなって伝えたかったんだと思う」

「嘘だ。そんなの……」


そんな風に都合よく解釈できるわけがないじゃないか。