「白石。悠真が斗真に放ったその言葉、読み取れなかったんだろ? 早口すぎて、今でもわかってないんだろ?」


深澤先生が察して、ルカにそう問いかける。

だけどルカは静かに首を横に振った。


「お兄さんを責め立てる悠真君の言葉はさすがに読み取れませんでした。でも、一部分だけは何とか……」

「白石、もういい。言うな」

「……いいよ。言ってくれ」

「悠真!」


ルカを制止する先生を僕が制止する。

投げやりになっているように聞こえたのか、深澤先生は少し声を荒げた。

顔を上げて、意を決してルカを真っ直ぐに見つめた。


「ルカ。いいよ、言って」


困惑した表情になっているルカは、僕の隣にいる先生をチラッと見て、一度言うのをためらったが、小さく頷いてから僕を見つめ返した。


「……僕の前から消えてくれ」


自分で兄貴に向けて放った言葉なのに、ルカに言われたら何でこんなにも苦しいのだろう。

兄貴もあの時、こんな気持ちだったのかな。