駅が出てくれば、何県の何線なのか検索すればわかるし、制服でどこの学校とかも判断できる。
それで僕にたどり着いたという事はわかった。
ただ……やっぱり腑に落ちないんだよな。
絶望のどん底にいるルカに角膜を提供した兄貴は、確かに彼女にとっても彼女の家族にとっても救世主だとは思う。
封は切られていないけれど、あんなに兄貴に手紙をくれたわけだし。
救世主がどこの誰なのか知りたいと思う気持ちもわかる。
でも、仲が良かった友達とか、学校生活とか捨てて、中途半端な時期にこの街に引っ越してきたのは何で?
兄貴が生きているのならまだしも、この世に存在しないのはわかっているのに。
「悠真君。私ね、お兄さんが見ていた世界を色々見てきて、何となくみんなが言っている事がわかってきてね。まるで私がこの街で存在しているような気にすらなって。……でもね、ただ、一つだけ。瞼を閉じて一番最初に必ず見える物、彼……つまり、悠真君が怒りながらお兄さんに何を言っているのかだけはずっとわからなかった」
メガネの奥で悲し気で切なそうに揺れるルカの瞳に、僕は心臓を掴まれたような痛みを感じた。
今まで話の中に出て来た『彼』とは、僕の事。
その僕が、怒りながら兄貴に何を言ったのか……。
それで僕にたどり着いたという事はわかった。
ただ……やっぱり腑に落ちないんだよな。
絶望のどん底にいるルカに角膜を提供した兄貴は、確かに彼女にとっても彼女の家族にとっても救世主だとは思う。
封は切られていないけれど、あんなに兄貴に手紙をくれたわけだし。
救世主がどこの誰なのか知りたいと思う気持ちもわかる。
でも、仲が良かった友達とか、学校生活とか捨てて、中途半端な時期にこの街に引っ越してきたのは何で?
兄貴が生きているのならまだしも、この世に存在しないのはわかっているのに。
「悠真君。私ね、お兄さんが見ていた世界を色々見てきて、何となくみんなが言っている事がわかってきてね。まるで私がこの街で存在しているような気にすらなって。……でもね、ただ、一つだけ。瞼を閉じて一番最初に必ず見える物、彼……つまり、悠真君が怒りながらお兄さんに何を言っているのかだけはずっとわからなかった」
メガネの奥で悲し気で切なそうに揺れるルカの瞳に、僕は心臓を掴まれたような痛みを感じた。
今まで話の中に出て来た『彼』とは、僕の事。
その僕が、怒りながら兄貴に何を言ったのか……。