話しても信じてもらえないほどの、非現実的な何かが起きているという事なのか?


「……お母さん、私が話すよ」

「ルカ? 大丈夫?」


静かに診察室の扉が開き、中からルカが出て来た。

まだ万全な状態ではないようだが、自分の足でしっかり立っているし、震えも止まっている。


「悠真君。今まで振り回していてごめんね。でも、決してからかって楽しんでいたわけじゃないよ。……私は本当にあなたに会うためにこの街に来たの。これから話す事は全て私の中で起きている本当の事。……だから、最後までちゃんと、聞いてくれる?」


真剣な表情で真っ直ぐに僕を見つめて言ったルカ。

少し揺れる彼女の瞳には僕の姿がしっかりと映し出されている。


「聞くよ。ちゃんと、最後まで」


力強く頷いて、僕はハッキリと答えた。



阿部先生は学校に戻り、病院からルカの家に移動した4人。

最初、深澤先生も学校に戻るつもりだったけれど、ルカが先生にも聞いて欲しいと言ったので、一緒に来た。

さすがに今日ばかりは、いつものようなヘラヘラした雰囲気が全くない先生。

別人かと思うくらいだ。