何かに取りつかれたように発狂するルカの姿は、本当に怖かった。

あのまま長い時間閉じ込められていたら、取り返しのつかない事になってたんじゃないかっていう恐怖が今になってこみあげてくる。

良かった、助かって。

ルカを助ける事ができて、本当に良かった……。

ホッとしたせいか、不覚にも涙が零れ落ちた。

ルカに見られないよう、そっと顔を隠しながら涙をぬぐった。



ルカの診察前に、僕と深澤先生とルカのお母さんだけが診察室に入り、どうして体育倉庫に閉じ込められたのかという経緯を話した後、ルカと交代した。

僕がこの心療内科に来るのは、実は今日が初めてではない。

兄貴が亡くなった時、兄貴が運ばれた病院の医者からこの心療内科を紹介され、カウンセリングに何度か通った事があった。

深澤先生がうちに出入りするようになってからは、もうここには来ていなかったんだけど、久しぶりに僕と会って、しかも患者であるルカが僕と知り合いだという事に医者は驚いていた。

まるで、『運命的だね』とでも言いたそうな顔をしていたけど。