偶然が重なってルカのピンチに居合わせたから良かったけれど、これでルカが一人でこんな所に閉じ込められていたらって考えただけで恐ろしくて身震いする。

おそらく誰に気付かれる事も無く、長時間閉じ込められた状態だっただろう。

そうなっていたら、ルカは……。

考えたくなくて首をブンブンと横に振ると、深澤先生が僕の眼鏡を拾って手渡してくれた。

眼鏡をかけたとたん、ルカが大事にしていたお守りである幸せを呼ぶ砂の小瓶が転がっているのが目に入った。

その小瓶を拾い上げ、深澤先生と共に僕も外へ出た。

一足先に阿部先生が保健室にルカを連れて行き、僕はその場に残されていたルカのカバンと自分のカバンを肩にかけ、後を追いかけた。

しばらくするとルカのお母さんが迎えに来て、かかりつけの心療内科に行く事に。

何があったのか事情を説明するために僕も同行した。

深澤先生と阿部先生も別の車で同行する事に。

ルカはだいぶ落ち着きを取り戻したものの、肩で呼吸をしながらハンドタオルをきつく握りしめていた。

そんな彼女の隣に座りながら、僕はルカの手に自分の手を重ねた。