とにかく一刻も早くここから抜け出して、ルカを明るい場所に連れて行かないと。


「……ゆうま、君」

「大丈夫。無理して何も話さなくていい。ちゃんと明るい場所に連れて行くから。今、助け呼ぶから、あと少しだけこの状態で我慢してて」


どうやら、僕の名を呼べるくらいまで落ち着いたようだった。

けれどまだ、身体の震えも涙も止まっていないし、呼吸も荒い。

ブレザーの上からなのに、ルカは僕の腕に爪を食い込ませるほどの力で僕にしがみついている。

相当、暗い所がダメなのだろう。

眼鏡が飛んだせいであまりよく見えず、滑り落ちたスマホを、手探りで探す。

何とか探り当てて、履歴の欄をタップし、深澤先生に電話をかけた。


『もしもしー? さっきぶりじゃん。どうしたよ? 寂しくなっちゃったとか? でも俺、これからバスケ部行かなきゃいけねーんだけど?』


聞こえてくる気の抜けた先生の声。


「先生、助けてください!校舎裏の体育倉庫にルカと二人で閉じ込められちゃったんです!」

『えっ?!マジかよ?!』

「真っ暗でかなりまずい状況なので早く助けてもらえませんか?」

『まずい状況って、何かあったのか? とにかく今すぐ行くから、ちょっと待ってて!』


早口で説明すると察したのか、電話の向こうの先生の声のトーンが変わった。