妻の濃ゆい家族達の会議より
キヨヒコと弾き出されてから
2週間、、
「アマネは、フィレマトロジーの
伝導者にでもなったか?前から
挨拶代わりのウインクも寒い奴
だったが、とうとうマウス・
トゥ・ハンドで挨拶がてらに
手にキスするとかないわー。」
僕はキヨヒコと並んで
営業フロアから
最上階エレベーターに
乗るため
エントランスに向かっている。
「キヨ、これも苦肉の策だって!
しゃーないだろ!『ヤシロ女史
に襲われキス事件』を薄めっに
は、僕のマウスをある程度、
解禁するっきゃねーだろが!」
たまに、
外回りから帰る部下に
片手を上げて労いつつ
キヨヒコの揶揄に付き合う。
「おー、アマネボジョレーか!」
「うるさい!」
そして、
「あ、経理の、!」
向かいに
我が社の経理嬢が
歩いてくるのを見つければ、
「やあ、ヤマザキさん、この間の
経費。本当に助かったよ。
頼んで良かった。サンキュ!」
僕から、
彼女の手をとり、労いにと
その指先に感謝のキスを
落とす。
『やだぁ、アマネさん!
あれぐらい何でもないですぅ』
そうして、即座に身を交わして
彼女に手を振り、
キヨヒコと並ぶ僕。
「うえっ!リアルマウストゥ
ハンド目撃した!よーやる!」
キヨヒコの下手物を見る眼差しも
もう慣れたもんだ。
「キヨ、知ってたか?君ぃ。
だんだん社内女子のネイルが
アートかデコか知らんが、
派手になっとるんだよ。」
どうやら、この作戦は
社内女子達の
『見られてキレイになるネイル』
状況を察するに悪くない
ようだ。
僕はこの2週間、
例のヤシロ女史写真の対策を
考えた末に、
この打開策を産み出した!!
「マジ?!なら、ネイル業界に
打診しとこかな?うちでモニタ
ーデータ取りますってさ!
なんなら、事業部たちあげ?」
「いらんことすな!」
エレベーターエントランスで、
最上階用のボタンを押す。
こいつでノンストップで上がる
のだ。
我が社のトップはしょーもない
モノを作りよるなと思う。
「で、何でオレ達、会長室に
呼ばれてるの?アマネさん?」
目の前に開いた
モダンなエレベーター内に入り
キヨヒコが僕に聞く。
「知りませんよ、キヨヒコさん」
こっちだって、
デスクに帰ってきた途端に、
コールされたクチなんだよ!
肩を竦めて、両手をあげる
お手上げポーズを取ると、
エレベーターが目的の階で開いた
「ユウキさん、わざわざドア前に
出迎えなんて!ありがとうね」
エレベーターが開くと、
そこには会長の第一秘書嬢が
立っていたから、
ここでも御約束で、指先キッスを
しておくっての!
『社内で噂になっていたのは、
本当でしたのね?驚きですわ』
流石に敏腕美人会長秘書軍団には
そうそう、
社内でも会わないからね、
僕の解禁行動を披露するのは
今回初で、驚かれるのも
無理ないけど。
「アマネさ、社内女子の名前、
全員覚えてんの?もしかして」
うん、さすがのユウキ女史に
満更ではない顔された。
「その、もしかして。って、
キヨも、本当は同じくだろ。」
「男子も、もれなくだよ。」
「聞きようじゃ、BL案件だな!」
「ウソウソ。」
そんなバカな事をヒソヒソと
キヨヒコと話ていると、
『今日は、ドア前で待機を仰せ
使っておりますので、わたくし
こちらまでの案内ですの。』
秘書嬢さまに、説明された。
要するに、
プライベートで会長に呼ばれたが
100%確定だな!
「「失礼しまっす!!」」
拒む選択もなく、僕とキヨヒコは
会長室の重厚なドアをノックして
観音開きにする。
「お前ら、来たか。」
会長、もとい妻のお義父さまより
窓際の会長椅子から
いきなりのー、不機嫌な
物言い。
「会長!いや、お義父さま!
カレンさんが見つかったんです
よね?!僕に内緒にするなんて
ヒドイです。浮気で家出された
としても、せめて安否は
僕だって、知りたいです!!」
僕は、クラシカルな大統領机に
手を置いて、義父に詰め寄った。
ここは先制攻撃!!
この2週間、ずっと思っていた
思いの丈をだ。
「・・・」
苦虫を噛み下した顔の義父に、
今度はキヨヒコが
飄々と片手を上げて、聞く。
「あのー、この話ってオレは
呼ばれる必要ありますぅ?」
たしかにな!!
そんで、
入り婿への嫌がらせもここまでに
してくれよ!!ほんとって
僕は義父と睨みあう。
ん?ちょっと会長やつれたか?
「アマネ、、」
「はい!」
徐に目の真ん前の
義父が口を開いて、叫んだ!
「カレンは見つかっておらん!
2週間立って、弁護士に探させ
とるが、相手の男も見つかって
おらん!!どーしてくれる!」
「あへえっ?」
義父の予想外の言葉に
僕は思わずへんな声を出した。
「カレンお嬢さん、まだ帰って
ないんですか?精々、3日ぐらい
で帰ってるだろうなーとか
思ってたんですけど、根性ある」
キヨヒコが、斜め後ろから
感心して腕を組んだ。
いや、根性って!!
「カードを使っても、現金を
出した様子もない!タクシー、
まして自分の車もだ。相手の
男と待ち合わせたかもだ。
しかも金の心配がいらん奴かも
しれん。まともな奴なら、
男から連絡をよこすものだが、
いまだに、なしのつぶてだ!」
あー、それで やつれた?
寝てない?寝てないよねー
「そんな、てっきり、戻ってる
と、、お義父さん達の嫌がらせ
で、連絡もらえないと思って
ました、僕。まだ、なんて、、」
いかん!そう!義父を心配
してる暇なしっんぐ!
なんだそれ!!
妻は生粋の箱入りだ。
お初家出なんて、真夏の大冒険
ぐらいのもんだろう。
あの我が儘悪役令嬢まがいの
妻が、着の身着のままで
逃避行はありえない!!
「どれだけ被害妄想強いんだ!
そんな下らんことはせん!!」
義父さまは そう言うけどさ!
てっきり僕も
キヨヒコが呟いたとおり、
当の昔に妻は戻って来ていて、
僕への当て付けに
連絡をさせていないと思っていた
んだよ!!
「あの、会長がオレらを呼んだの
は、その、もしかして、」
キヨヒコが呼びつけられた
予想を口にするしないかで
「アマネ、カレンを探せ!
見つけるまで、社に来るな!
お前がカレンを見つけるまでは
そこの2課長が、1課もみろ!」
義父は僕達に要件を叩きつける。
「そんな!連座責任って?!」
だよな!キヨヒコ!
巻き込まれもここまで来たら
もはや、呪いだよな!!
義父は会長の顔をだして、
キヨヒコをも睨み付ける。
「1週間だ!それで見つけられ
ないなら、警察に届ける!
金を撒いて、あらゆる防犯
カメラを調べさせる!いいな!」
そうなれば、
僕は
極寒の修道院ならぬ、左遷だ!!
「お義父さん!何か手がかりは」
せめて、探偵を助手に!
いや僕が助手になるから!!
「すぐに引き継ぎ、アマネは
カレンを見つけるまで出張!」
なにが悲しくて、
他の男と睦まじくする 妻を
一人っきりで探し出さなきゃ
ならないんだぁ。
『会長、次のご予定のお迎えが
参りました。ご準備下さい。』
隠密の如く
恐ろしいタイミングで
ノックの音と共に秘書嬢の声が
掛けられる。
「うむ、ユウキくん、営業1課長
は今から急遽、出張に1週間
行ってもらう。2課長が1課も
見てもらうと、部長に通達だ。」
『かしこまりました。』
淡々と
成されるやり取り。きっと、
他社会長と会食だろうな。
だって、僕達ランチにデスクへ
戻ってきたとこだったから、、
「かしこまりましたじゃ、
会長!!オレ、そんな無理!」
キヨヒコの無念の陳情が
会長室に響く。
「2課長よろしくな。」
義父こと、会長は美人秘書を
伴って
いかにもな会長室を
出てしまった。あの人は
そんな人だよ、キヨヒコ。
「アマネ!おま!どーすんだ!」
真っ白い灰になった僕の耳に、
哀れな子羊キヨヒコの声だけ
聞こえる。
どーすべ?僕?
キヨヒコと弾き出されてから
2週間、、
「アマネは、フィレマトロジーの
伝導者にでもなったか?前から
挨拶代わりのウインクも寒い奴
だったが、とうとうマウス・
トゥ・ハンドで挨拶がてらに
手にキスするとかないわー。」
僕はキヨヒコと並んで
営業フロアから
最上階エレベーターに
乗るため
エントランスに向かっている。
「キヨ、これも苦肉の策だって!
しゃーないだろ!『ヤシロ女史
に襲われキス事件』を薄めっに
は、僕のマウスをある程度、
解禁するっきゃねーだろが!」
たまに、
外回りから帰る部下に
片手を上げて労いつつ
キヨヒコの揶揄に付き合う。
「おー、アマネボジョレーか!」
「うるさい!」
そして、
「あ、経理の、!」
向かいに
我が社の経理嬢が
歩いてくるのを見つければ、
「やあ、ヤマザキさん、この間の
経費。本当に助かったよ。
頼んで良かった。サンキュ!」
僕から、
彼女の手をとり、労いにと
その指先に感謝のキスを
落とす。
『やだぁ、アマネさん!
あれぐらい何でもないですぅ』
そうして、即座に身を交わして
彼女に手を振り、
キヨヒコと並ぶ僕。
「うえっ!リアルマウストゥ
ハンド目撃した!よーやる!」
キヨヒコの下手物を見る眼差しも
もう慣れたもんだ。
「キヨ、知ってたか?君ぃ。
だんだん社内女子のネイルが
アートかデコか知らんが、
派手になっとるんだよ。」
どうやら、この作戦は
社内女子達の
『見られてキレイになるネイル』
状況を察するに悪くない
ようだ。
僕はこの2週間、
例のヤシロ女史写真の対策を
考えた末に、
この打開策を産み出した!!
「マジ?!なら、ネイル業界に
打診しとこかな?うちでモニタ
ーデータ取りますってさ!
なんなら、事業部たちあげ?」
「いらんことすな!」
エレベーターエントランスで、
最上階用のボタンを押す。
こいつでノンストップで上がる
のだ。
我が社のトップはしょーもない
モノを作りよるなと思う。
「で、何でオレ達、会長室に
呼ばれてるの?アマネさん?」
目の前に開いた
モダンなエレベーター内に入り
キヨヒコが僕に聞く。
「知りませんよ、キヨヒコさん」
こっちだって、
デスクに帰ってきた途端に、
コールされたクチなんだよ!
肩を竦めて、両手をあげる
お手上げポーズを取ると、
エレベーターが目的の階で開いた
「ユウキさん、わざわざドア前に
出迎えなんて!ありがとうね」
エレベーターが開くと、
そこには会長の第一秘書嬢が
立っていたから、
ここでも御約束で、指先キッスを
しておくっての!
『社内で噂になっていたのは、
本当でしたのね?驚きですわ』
流石に敏腕美人会長秘書軍団には
そうそう、
社内でも会わないからね、
僕の解禁行動を披露するのは
今回初で、驚かれるのも
無理ないけど。
「アマネさ、社内女子の名前、
全員覚えてんの?もしかして」
うん、さすがのユウキ女史に
満更ではない顔された。
「その、もしかして。って、
キヨも、本当は同じくだろ。」
「男子も、もれなくだよ。」
「聞きようじゃ、BL案件だな!」
「ウソウソ。」
そんなバカな事をヒソヒソと
キヨヒコと話ていると、
『今日は、ドア前で待機を仰せ
使っておりますので、わたくし
こちらまでの案内ですの。』
秘書嬢さまに、説明された。
要するに、
プライベートで会長に呼ばれたが
100%確定だな!
「「失礼しまっす!!」」
拒む選択もなく、僕とキヨヒコは
会長室の重厚なドアをノックして
観音開きにする。
「お前ら、来たか。」
会長、もとい妻のお義父さまより
窓際の会長椅子から
いきなりのー、不機嫌な
物言い。
「会長!いや、お義父さま!
カレンさんが見つかったんです
よね?!僕に内緒にするなんて
ヒドイです。浮気で家出された
としても、せめて安否は
僕だって、知りたいです!!」
僕は、クラシカルな大統領机に
手を置いて、義父に詰め寄った。
ここは先制攻撃!!
この2週間、ずっと思っていた
思いの丈をだ。
「・・・」
苦虫を噛み下した顔の義父に、
今度はキヨヒコが
飄々と片手を上げて、聞く。
「あのー、この話ってオレは
呼ばれる必要ありますぅ?」
たしかにな!!
そんで、
入り婿への嫌がらせもここまでに
してくれよ!!ほんとって
僕は義父と睨みあう。
ん?ちょっと会長やつれたか?
「アマネ、、」
「はい!」
徐に目の真ん前の
義父が口を開いて、叫んだ!
「カレンは見つかっておらん!
2週間立って、弁護士に探させ
とるが、相手の男も見つかって
おらん!!どーしてくれる!」
「あへえっ?」
義父の予想外の言葉に
僕は思わずへんな声を出した。
「カレンお嬢さん、まだ帰って
ないんですか?精々、3日ぐらい
で帰ってるだろうなーとか
思ってたんですけど、根性ある」
キヨヒコが、斜め後ろから
感心して腕を組んだ。
いや、根性って!!
「カードを使っても、現金を
出した様子もない!タクシー、
まして自分の車もだ。相手の
男と待ち合わせたかもだ。
しかも金の心配がいらん奴かも
しれん。まともな奴なら、
男から連絡をよこすものだが、
いまだに、なしのつぶてだ!」
あー、それで やつれた?
寝てない?寝てないよねー
「そんな、てっきり、戻ってる
と、、お義父さん達の嫌がらせ
で、連絡もらえないと思って
ました、僕。まだ、なんて、、」
いかん!そう!義父を心配
してる暇なしっんぐ!
なんだそれ!!
妻は生粋の箱入りだ。
お初家出なんて、真夏の大冒険
ぐらいのもんだろう。
あの我が儘悪役令嬢まがいの
妻が、着の身着のままで
逃避行はありえない!!
「どれだけ被害妄想強いんだ!
そんな下らんことはせん!!」
義父さまは そう言うけどさ!
てっきり僕も
キヨヒコが呟いたとおり、
当の昔に妻は戻って来ていて、
僕への当て付けに
連絡をさせていないと思っていた
んだよ!!
「あの、会長がオレらを呼んだの
は、その、もしかして、」
キヨヒコが呼びつけられた
予想を口にするしないかで
「アマネ、カレンを探せ!
見つけるまで、社に来るな!
お前がカレンを見つけるまでは
そこの2課長が、1課もみろ!」
義父は僕達に要件を叩きつける。
「そんな!連座責任って?!」
だよな!キヨヒコ!
巻き込まれもここまで来たら
もはや、呪いだよな!!
義父は会長の顔をだして、
キヨヒコをも睨み付ける。
「1週間だ!それで見つけられ
ないなら、警察に届ける!
金を撒いて、あらゆる防犯
カメラを調べさせる!いいな!」
そうなれば、
僕は
極寒の修道院ならぬ、左遷だ!!
「お義父さん!何か手がかりは」
せめて、探偵を助手に!
いや僕が助手になるから!!
「すぐに引き継ぎ、アマネは
カレンを見つけるまで出張!」
なにが悲しくて、
他の男と睦まじくする 妻を
一人っきりで探し出さなきゃ
ならないんだぁ。
『会長、次のご予定のお迎えが
参りました。ご準備下さい。』
隠密の如く
恐ろしいタイミングで
ノックの音と共に秘書嬢の声が
掛けられる。
「うむ、ユウキくん、営業1課長
は今から急遽、出張に1週間
行ってもらう。2課長が1課も
見てもらうと、部長に通達だ。」
『かしこまりました。』
淡々と
成されるやり取り。きっと、
他社会長と会食だろうな。
だって、僕達ランチにデスクへ
戻ってきたとこだったから、、
「かしこまりましたじゃ、
会長!!オレ、そんな無理!」
キヨヒコの無念の陳情が
会長室に響く。
「2課長よろしくな。」
義父こと、会長は美人秘書を
伴って
いかにもな会長室を
出てしまった。あの人は
そんな人だよ、キヨヒコ。
「アマネ!おま!どーすんだ!」
真っ白い灰になった僕の耳に、
哀れな子羊キヨヒコの声だけ
聞こえる。
どーすべ?僕?