あの後、
例のごとく鍵持ちの
義理母、義理兄たちに突入され
僕はアイアンクローとか
卍固めとかされ
ボロボロになったわけで、

あげく
最後は、
頭が可笑しくなった婿→僕に
微妙に残念な視線を送って
会長家族は
キヨヒコと共に
帰っていった次第。

そして、
僕はあれから2週間、
冷凍庫の作り置きを食べ切ると、
自炊をするよーに
なって、
『後ろ姿の妻』と毎日を
過ごしているが、
何か?文句あります?
ないよねー。

「カレンさん、今日のランチ、
パスタにしといたんよ。
ほらカレンさん、ホステスの
履歴書に使ってた住所?あっこ
タモツと行ってこっかなーって。
気ー向いたら、食べてよ。」

すっかり『後ろ姿の妻』は
スツールがお気にみたいで、
僕はリビングのローテーブルに
シーフードパスタとペリエを
置いた。

「・・・・」

明日からは、
また出勤になる僕。
未だ妻カレンは見つからん。

「せめて、こっち向いてくれた
ら、ええのんなあ、カレン。」

独り言が恐ろしく増えて、
ヤバいやつになりかけやがな!

「じゃ、カレンさん。いってく」

奇妙な『後ろ姿の妻』の生活に
最初の1週間で
僕は慣れてきていた
といえます。はい。

『後ろ姿の妻』に声をかけて、
車でタモツを迎えに行く。
タモツには電話で事情は
話ておいたが、

やっぱり電話口で引かれた!

「会長家族の気持ちは、
わからんでもないがな。アマネ
、どうやら此所みたいだぞ。」

そこは
『町』から20分ぐらいにある場所
で、最寄りに『天気の神社』が
あるメゾンだ。

「タモツも、全然信じとらんな」

僕は車を停めてから
ハンドルに
顎をのせ
タモツにジト目を送る。

「アマネが嘘をつく奴じゃないの
は解っているから安心しろ。
それに、うちにも居てるぞ、
勘の強い奴が。なんなら、
そいつを連れて行こうか?」

相変わらず、
キヨヒコと同じく
こいつも
長い足を組み上げて
助手席に座っとるよ、
思いっきり
座席を後ろに
スライドさせてな!!

「ええよ、別に。怖なるだけろ。
とにかく会長たちに、探す
範囲を広げてもらえとるしな」

そうなのだ。

なんやかんやと言いつつ
技かけつつも、
会長家族たちは
達の悪い戯れ言だとなじっても
僕の言葉を
聞いてくれたのだ。

「それから2週間だろ?もう、
家出から1ヶ月たつ事になる」

警察には家出捜索を
呆れられながら出して、
都内の病院を、
会長お抱え弁護士やらに
総当たりしてもらっとるのに。

「そ、やから。『Q』で手に入れ
たアドレスに来てみよってね。
悪りーな付き合わせて。」

手掛かりさえも、ナッシング!

「かまわん。しかし道狭いな。
あそこに見えるパーキングに
とりあえず入れるか。」

それで、『Q』履歴書アドレスん
とこにタモツと来たんが、
道狭っ!
ここら大学あるから、
学生の独り暮らし多いエリアで
道幅ない住宅地か。

「オケー」

タモツが見つけたパーキングに
車を入れてといて、
さっき見つけた
ややデザインチックな
メゾンの2階へ階段を上がる。

「すんませーん。」

呼び鈴ならしもって、
声かける。これ大事。

「今日宅配たのんでないけどー」

中から、
寝言は寝て言えーな
上半身まっぱの若い目男が
出てきよった!!
て、おい!まーさーかーの!!

「おま!彼氏か!カレンさん
どうしたんぞ!!おら!」

まっぱ野郎やから、
襟首つかまれんとこ、
しゃーなし顎を片手で掴んだる!

「うっぷ!ち"ょっとな"んなんで
もまあか!あ"、カ"レンさんぬ
のおだ、旦ぬん那お?!い、」

「「!!!」」

こいつ!カレンの名前出しよん!
有罪確定!ギロチンぞ!

「おい、君。アマネを知ってる
の?本当にカレンさんの男か」

「は"、は"なして!ちぃ、痛あ
い! 違い"げまあすよ"痛いてっ
て!ばなあせてあ!!」

顎を片手つかまれタコ顔やから
しゃべれんか?!
気が付いて僕は、手をはなし、

「おら!観念せい!この間男!」

『スパーーーン』

顎に僕の手の跡残る、
まっぱ男の頭をはたいたる!!

「間男って!貴方の方が、浮気
してるんじゃないですか。」

「なに!?」

顎をさすりながら、
まっぱ男が僕を睨むけど
全然じゃ!若造!!

「これは、もう確定だなアマネ。
お前は、この金の無さげな、
普通の年下男にカレンさんを
寝取られた。これが真実だろ。
さあ、カレンさんは中か?」

タモツのやつ!は
闇に僕をデスって
まっぱ男を交わしながら
部屋ん中を覗こうとしたが、

まっぱ男がタモツを
押し出す。

「な、!違いますって!
おれは、カレンさんの男じゃ
ないです!只の料理学校の
班仲間っすよ。それに、カレン
さん。休んでますけど、何か
あったんですか?痛いって!」

僕が知らん事実を
こいつが口にするから、
もう1度顎に掴んで
タコ顔や!!

「料理学校?あのカレンさんが
通ってたん?マジか?お前」

「えー、もうなんすか。
本格技術を履修する学校
ですよ。よくある、スクールとか
じゃあないですから。旦那さん
あんまり、遊びすぎるのは
やめた方がいいっすよ。カレン
さんに、捨てられっすから」

まっぱ男が顎の僕の手を
はたいたと同時に
今度は僕がよく掛けられる
ヘッドロックを決めに
かかる。

「ぐおらー!!締めちゃる!」

「あ"あー"ぐるじいー、、」

僕の腕の中に、相手の頭を
入れ混んで決めたところで、
タモツが
周りを見回して

「アマネ、とりあえず中に入れ
ここじゃ、目立つ。邪魔する」

まっぱ男の部屋へ押し入る。

確かにね、
なんだなんだって、
住人が 顔を出してきてるし。

「や"や"勝手に"入らないでっ」

抵抗する相手の頭を
ヘッドロックで拘束したまま
僕も部屋に入った。

ごくごく普通の独り暮らし部屋
だな!
なんか懐かしすいーー。
と、それは置いといて、
尋問に入ろうとしたのに、

「お前名前は?どうして、カレン
さんがお前の住所を使う?、
お前、カレンさんとやったか」

タモツがいらん事聞いた!!

「タモツ!!」

「「やってない!!!」」

だから僕が即答っくと、
まっぱ男とマジにリンクした。
意外に気が合うか?
あれか?フュージョン!

「ん?アマネ何?」

そんな僕にタモツが
怪訝そうな顔をしてくるから、

「カレンさんはこいつなんかと
やってねぇ。それはわかる。」

僕は、確信もって
宣言したった!
なんつったって、
僕にはわかる!
他のやつ入れたら!
そりゃもう
ファイト一発でわかるんよ!!

ただ、もう会うてない
この1ヶ月はわからん?
けど、
絶対の絶対にない!!

「、、アマネ、キモイ。」

僕が謂わんとせん事を察して
タモツが
ウゲーって整った顔を歪めた。

「っさいな。」

タモツを小突こうとしたら、
かわされた、くそ。

玄関入ってすぐにキッチンがある
6畳ぐらいのダイニングは、
一応テーブルあるやん。
でも、立ちっぱな
男3人組。

「本当にカレンさんとは、そんな
関係じゃないっす。カレンさん
が、貴方の浮気というか、騙され
てないか調べたいから、クラブに
潜入するのに履歴書の住所を少し
貸して欲しいって。だけっす。
この部屋に来たことないです!」

すごい!一気にゲロった。
ヘッドロックが効いたな、
これ。

「嘘じゃないだろな!」

「本当ですって!ヤバいなあ」

てか、おまえ服着ろよ!
ややこいわ。
奥のベッドルームか?
そこにテーシャツあるやろ。

「アマネ、どーする?で、名前」

僕が、一応奥の部屋に
妻がおらんか見てると、
でたよ、
タモツのどこでも勧誘。

年がら年中ホスト不足やしな、
すぐ、やめっから。

「キリヤマですけど、、」

あ、こいつアカン、チョロチョロ
な。
タモツに、すんげーロックオン
されよった。

「キリヤマ。カレンさんに住所を
貸した以外、何か覚えてないか
カレンさんが行方不明なんだ」

な、上に
さすがNo.1時代からの、
どっからでも攻めて無双話術を
駆使し始めたタモツ。

「えー、浮気旦那にイヤケさして
でしょ?そんなの、い、痛い」

「キリヤマ、締める!」

シレッと、まっぱキリヤマは
いらん事いいよるんな。

「何で呼び捨て!殺される、」

アイアンクロー!!

「暴走アマネは、厄介だぞ。」

腕組みしながらタモツが
とーとー、椅子に座った。

「えあ"、えあ、あ"ー、何って
あ、お水仲間と、ホストクラブ
初めていったわって、言ってた
かも?学校で、本当にホステス
始めたんなら、行くよーって」

あーすごい、騒音が、聞こえた
気➰する➰。

「やっぱり、キリヤマ殺す。」

「だって、あんな美人で、旦那は
浮気ものなら、おれもって、
ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァーーー!」

卍固めな!!

『ドンドン、大丈夫ですかー?』

うわ!お隣さんが壁叩いて
聞いてきた声が
こんなに聞こえるって?

ありえん顔してる僕に、

『トントン』

「大丈夫ですよー!キリヤマ、
ここ壁が薄すぎ、女連れこめ
ないだろ、この部屋じゃ。」

タモツが返事して壁を
ノックした。

「いーんすよ、彼女いないから」

涙目で、しょげるまっぱ男、
キリヤマ。

「お前、うちで働くか?」

それ、関係ねー。

「何で?!おれ、普通にホテル
和食店で板前してますからっ」

え?もう料理出来る人やん。

「なして、まだ学校いくか?」

僕が驚いて聞くと、
そっぽ向きながら、まっぱ
キリヤマが答えた。

「かってでしょ。店持ちたいから
ですよ、早くね。もういい?」

意外に頑張ってるやつか。
僕とフュージョン出来るはずな!

「サンキュー、また連絡する。」

タモツ、ねじ込むな。

「入りません!帰って!」

バタバタと僕やタモツを
追い出そとするキリヤマを
そのままに、
僕もダイニングの狭い椅子に
腰掛けて算段する。

「ますます謎だが、カレンさん
今更アマネの素行なんか調べる
か?しかも自ら潜伏って。」

「ホストクラブに行ったって、
こいつ言ってっし、仕事仲間っ
て、冷遇されの『Q』だろ?
どーすっかな。どう思う?」

「他に札がないなら、『Q』の
ホステスに聞き込むしかない。
もしかすれば、ひとりぐらい
気が合うのがいて、何か聞いて
るかもだろ?な、アマネ?」

「だな。んじゃ、今度は
『Q』に客としていくかっ。
さすがにタモツは、、店ーー
だなっ。じゃ、キヨか。
あーでもあれか、キヨも客
連れに行くから、、僕って、
ほんとっ、ダチいねーの。」

「これ、連れいけよ。」

「これ?」

まだ、ギャーギャー言ってる
キリヤマの顎を掴んで
タコ顔にする。

「キリヤマ。」

タモツが、キリヤマのまっぱ
上半身をバンと叩いた。

「なーるー。」

僕は頷いて、
顎から手をはなしてやる。

「へ?」

「キリヤマ、おま、こいやっ!」

僕が腕捲りをして、
ベッド上からテーシャツを取って
無理栗キリヤマに
着せた。

「嫌ですーーー!」

「いっから、いっから。」

タモツが、
椅子から立ち上がると、
そのままキリヤマの腕を取った。

「後で、うちの店に連れてこい」

なんか、このままマグロ漁船に
売られる勢いな!!

「行きません!!イヤー!!」

『ドンドン、お隣さーん、
本当に大丈夫ですかーー。』

またまた、お隣さん。
意外に、ご近所付き合いいい
地域なんかなあ~。

「「問題ないですよー!」」

とか、2人返事で
キリヤマの口をタモツと塞いで、

「ふごっ、!」

そのまんま、
僕の車に拉致っとく。

善は急げや急げ➰➰!!