『お客様がお見えになってます』
突然コンシェルジュからの
呼び出し音が
僕の意識を、戻してくる。
「あー、、キヨか、、」
すっかり忘れとった。
そのままコンシェルジュに
キヨヒコを通す様に告げて
僕はもう一度
リビングを見る。
間違いなく、そこに
後ろ姿の妻がいる。
「・・・・」
このマンションを出て行った日。
実家から出て行った日。
妻は、カレンは、なんの服を
着てったのだろか。
今、
後ろ姿のカレンの服。
どの服やったっけ。
てか、
見たことない ワンピース。
なんだけどっ!
「服、な。」
『♪ーーー!』
呼び鈴がなって、
ドアを開けにエントランスに
向かう。
「アマネ!カレンさん帰ってきた
って?!良かったな。ちゃんと
話できたか?!入るぞ。」
無言でドアを開けた僕に
矢継ぎ早やにしゃべるキヨヒコは
ゲストルームシューズも
履かずに
バタバタと
そのまま中に入って
リビングを見回しまくっとる。
考えたら、
キヨヒコがうちに入るのって、
新居祝い以来かも?
どーでもいっけど。
「で、カレンさんは?」
んで、笑顔のまんま
キヨヒコが僕に振り返る。
「ん?」
そのキヨヒコの斜め後ろの奥に
後ろ姿のカレンが
座っているんやが?
いやだな。キヨヒコのやつ。
「、、、キヨ。僕んカレンさん、
そこにおるけど。うん、そこに」
僕は『後ろ姿』を指差す。
「えーー、て、どこだろ。」
「そこ、リビングの奥のスツール
に、座ってんよ。おるやろ。」
「いや、スツールがあるだけだ」
「それ、マジ?キヨ?」
「何言ってんの?アマネ。冗談
ならやめろ。趣味悪いよ。」
そっかそっか、予想はしててん。
ハートがおっつかんだけでよ。
僕とキヨヒコは
こんな不毛なやり取りを
一通りして、
「そんでも居てるって!あ、
なあ、キヨ、ちょいその
スツール に座ってくれん?」
キヨヒコが突撃してくれた
お蔭で、どこか冷静になった僕は
閃めいた事を
キヨヒコに
お願いをしてみる。
「は?!なんだよ。カレンさんは
どうしたんだよ、アマネ!」
キヨヒコは、
そう言いながらも僕の言うとおり
わざわざ長い足を見せつけ
スツールに座った。
「うわっと。」
その瞬間、
それまでスツールに座っていた
カレンの後ろ姿が、
シュッとキヨヒコの後ろに
後ろ姿のまんま立つのだ。
「え?なにアマネ。」
「じゃあ、今度はスツールの
後ろん立ってみて、て、」
不審げなキヨヒコをそのままに
僕は
もう1度キヨヒコに指示して
みる。
「アマネ、何を俺にさせたい?」
プチっと文句を垂れながらも
キヨヒコはスツールの後ろに
立ってくれよる。
と、同時にカレンが更に
キヨヒコの後ろに
これまた
後ろ姿でスッと立つんだな。
僕は、
額に片手を当てながら
「キヨ、僕にはキヨの真後ろに
カレンさんが立ってみえるん」
眉を潜めてキヨヒコに
僕の見えてる事を言うてみる。
「本気か?それ?」
さすが
長年の付き合いか、
その割りに疑い過ぎな気もするが
キヨヒコが
信じられんて顔をして
驚いたから、
「まじ。誓ってええ。いる。」
僕は胸の前で十字を切る。
べつにキリシタンでなきけど。
「単に禁欲生活で、妄想とか」
さすが、キヨヒコ的発想を
ぶちこんだな。
「そりゃ、そーかもやが、
でも、居てるんは変わらん。」
「それ、どいうことだ?アマネ」
「なんとなしに、やが、」
アマネも額に汗をかきながら
どうやら
観念して、
ゆっくりと自分の後ろを
見ようとした
時に、、だ!!
『バタバターーん!!!』
もっすごい勢いで
リビングのドアが開いて
猛獣、もとい
会長こと
義理父が暴れ入ってきた!!って
「カレン!!迎えにきたぞ!!
こんなクズ男は捨てていいから
すぐに家に帰るぞ!カレン!」
いやいや、可笑しくない?
ここ僕とカレンのマンション
ですけどっ↗️↗️↗️💢
「あの、お義父さん!?なんで、
家入れてるんすか?!不法侵入
です。鍵掛けてましたよね!」
コンシェルジュもガバガバか?!
いつもの取り次ぎ
どこ吹っ飛んどるんが!
「うるさい!わしが買った
マンションだろう!鍵ぐらい
もっておるに決っておるわ!
おい!アマネ!カレンはどこだ」
糞だな、そのゲロった真実!!
新婚夫婦の愛の巣の
はずーですが?!
「そうですか。それは、それ
これは、これでまた話し合い
案件としましょう義父さん。
で、ですね、キヨヒコにも
今言ってたんですが。カレン
さんは、ここにいます!!」
「どこに!!」
「そこに!」
「キヨの後ろです。」
「2課長どきなさい。いないが」
はい、キヨヒコベーダー
横歩きー。
すかさず、僕のターン攻撃!
「います!!」
「はあ~~、もうそれは、いい。
カレン出てきなさい。このクズ
にどこか監禁されてるのかっ」
義理父は鼻の穴を膨らまして
ベッドルームドアに向かう。
その神聖なる場所は
父親といえど許すまじ!
「だーかーらー、聞きやがれませ
お義父ーよ!キヨヒコと貴方は
見えないようですが、そこに
僕には居てるのが見えます!」
「アマネ、とうとう頭にクズ男
菌が回ったか?それとも、あれ
だな、カレン禁断症状か?」
「禁欲で頭が湧いてますね。」
キヨヒコうるさい。
十字きんな!
「やはりか!」
「違いまふっ!」
噛んだわ。
「入り婿よ、とうとう錯乱か?
それほど娘を思うなら何故に」
腕組みして
いきなり 威厳を出して
真面目対応してきた義理父に
僕は覚悟を決めて
キヨヒコ、義理父、後ろ姿カレン
を順番に見やって、
次の台詞を、口にする。
「お義父さん、家出の捜索に
病院か、、、安置所を入れて
、、くれませんか、、」
予感を出してしまえば
鳩尾を抉られる気持ちになる、
と、
やけに思ったら
リアルに鳩尾に義理父の鉄拳が
入ってた、だけか。
「アマネ!お前わ!」
うん、痛い。
かはっ!!ってなって
まだカーテンを引いていない
窓に夜景が広がって
そこに後ろ姿が
いつかデートで見たみたいな
綺麗すぎなショットで
やろ、
涙が滲む。
「お願いです。地元では、
、、言うんです。
後ろ姿で戻ってくるって。」
僕は島のオバアの優しい言葉を
この後ろ姿に、思い出す。
『魂になって、見える、、
愛するもののもとにって。』
肋骨いってるかもな。
突然コンシェルジュからの
呼び出し音が
僕の意識を、戻してくる。
「あー、、キヨか、、」
すっかり忘れとった。
そのままコンシェルジュに
キヨヒコを通す様に告げて
僕はもう一度
リビングを見る。
間違いなく、そこに
後ろ姿の妻がいる。
「・・・・」
このマンションを出て行った日。
実家から出て行った日。
妻は、カレンは、なんの服を
着てったのだろか。
今、
後ろ姿のカレンの服。
どの服やったっけ。
てか、
見たことない ワンピース。
なんだけどっ!
「服、な。」
『♪ーーー!』
呼び鈴がなって、
ドアを開けにエントランスに
向かう。
「アマネ!カレンさん帰ってきた
って?!良かったな。ちゃんと
話できたか?!入るぞ。」
無言でドアを開けた僕に
矢継ぎ早やにしゃべるキヨヒコは
ゲストルームシューズも
履かずに
バタバタと
そのまま中に入って
リビングを見回しまくっとる。
考えたら、
キヨヒコがうちに入るのって、
新居祝い以来かも?
どーでもいっけど。
「で、カレンさんは?」
んで、笑顔のまんま
キヨヒコが僕に振り返る。
「ん?」
そのキヨヒコの斜め後ろの奥に
後ろ姿のカレンが
座っているんやが?
いやだな。キヨヒコのやつ。
「、、、キヨ。僕んカレンさん、
そこにおるけど。うん、そこに」
僕は『後ろ姿』を指差す。
「えーー、て、どこだろ。」
「そこ、リビングの奥のスツール
に、座ってんよ。おるやろ。」
「いや、スツールがあるだけだ」
「それ、マジ?キヨ?」
「何言ってんの?アマネ。冗談
ならやめろ。趣味悪いよ。」
そっかそっか、予想はしててん。
ハートがおっつかんだけでよ。
僕とキヨヒコは
こんな不毛なやり取りを
一通りして、
「そんでも居てるって!あ、
なあ、キヨ、ちょいその
スツール に座ってくれん?」
キヨヒコが突撃してくれた
お蔭で、どこか冷静になった僕は
閃めいた事を
キヨヒコに
お願いをしてみる。
「は?!なんだよ。カレンさんは
どうしたんだよ、アマネ!」
キヨヒコは、
そう言いながらも僕の言うとおり
わざわざ長い足を見せつけ
スツールに座った。
「うわっと。」
その瞬間、
それまでスツールに座っていた
カレンの後ろ姿が、
シュッとキヨヒコの後ろに
後ろ姿のまんま立つのだ。
「え?なにアマネ。」
「じゃあ、今度はスツールの
後ろん立ってみて、て、」
不審げなキヨヒコをそのままに
僕は
もう1度キヨヒコに指示して
みる。
「アマネ、何を俺にさせたい?」
プチっと文句を垂れながらも
キヨヒコはスツールの後ろに
立ってくれよる。
と、同時にカレンが更に
キヨヒコの後ろに
これまた
後ろ姿でスッと立つんだな。
僕は、
額に片手を当てながら
「キヨ、僕にはキヨの真後ろに
カレンさんが立ってみえるん」
眉を潜めてキヨヒコに
僕の見えてる事を言うてみる。
「本気か?それ?」
さすが
長年の付き合いか、
その割りに疑い過ぎな気もするが
キヨヒコが
信じられんて顔をして
驚いたから、
「まじ。誓ってええ。いる。」
僕は胸の前で十字を切る。
べつにキリシタンでなきけど。
「単に禁欲生活で、妄想とか」
さすが、キヨヒコ的発想を
ぶちこんだな。
「そりゃ、そーかもやが、
でも、居てるんは変わらん。」
「それ、どいうことだ?アマネ」
「なんとなしに、やが、」
アマネも額に汗をかきながら
どうやら
観念して、
ゆっくりと自分の後ろを
見ようとした
時に、、だ!!
『バタバターーん!!!』
もっすごい勢いで
リビングのドアが開いて
猛獣、もとい
会長こと
義理父が暴れ入ってきた!!って
「カレン!!迎えにきたぞ!!
こんなクズ男は捨てていいから
すぐに家に帰るぞ!カレン!」
いやいや、可笑しくない?
ここ僕とカレンのマンション
ですけどっ↗️↗️↗️💢
「あの、お義父さん!?なんで、
家入れてるんすか?!不法侵入
です。鍵掛けてましたよね!」
コンシェルジュもガバガバか?!
いつもの取り次ぎ
どこ吹っ飛んどるんが!
「うるさい!わしが買った
マンションだろう!鍵ぐらい
もっておるに決っておるわ!
おい!アマネ!カレンはどこだ」
糞だな、そのゲロった真実!!
新婚夫婦の愛の巣の
はずーですが?!
「そうですか。それは、それ
これは、これでまた話し合い
案件としましょう義父さん。
で、ですね、キヨヒコにも
今言ってたんですが。カレン
さんは、ここにいます!!」
「どこに!!」
「そこに!」
「キヨの後ろです。」
「2課長どきなさい。いないが」
はい、キヨヒコベーダー
横歩きー。
すかさず、僕のターン攻撃!
「います!!」
「はあ~~、もうそれは、いい。
カレン出てきなさい。このクズ
にどこか監禁されてるのかっ」
義理父は鼻の穴を膨らまして
ベッドルームドアに向かう。
その神聖なる場所は
父親といえど許すまじ!
「だーかーらー、聞きやがれませ
お義父ーよ!キヨヒコと貴方は
見えないようですが、そこに
僕には居てるのが見えます!」
「アマネ、とうとう頭にクズ男
菌が回ったか?それとも、あれ
だな、カレン禁断症状か?」
「禁欲で頭が湧いてますね。」
キヨヒコうるさい。
十字きんな!
「やはりか!」
「違いまふっ!」
噛んだわ。
「入り婿よ、とうとう錯乱か?
それほど娘を思うなら何故に」
腕組みして
いきなり 威厳を出して
真面目対応してきた義理父に
僕は覚悟を決めて
キヨヒコ、義理父、後ろ姿カレン
を順番に見やって、
次の台詞を、口にする。
「お義父さん、家出の捜索に
病院か、、、安置所を入れて
、、くれませんか、、」
予感を出してしまえば
鳩尾を抉られる気持ちになる、
と、
やけに思ったら
リアルに鳩尾に義理父の鉄拳が
入ってた、だけか。
「アマネ!お前わ!」
うん、痛い。
かはっ!!ってなって
まだカーテンを引いていない
窓に夜景が広がって
そこに後ろ姿が
いつかデートで見たみたいな
綺麗すぎなショットで
やろ、
涙が滲む。
「お願いです。地元では、
、、言うんです。
後ろ姿で戻ってくるって。」
僕は島のオバアの優しい言葉を
この後ろ姿に、思い出す。
『魂になって、見える、、
愛するもののもとにって。』
肋骨いってるかもな。