「いねぇよ、そんな奴。もしいたら、即切る。愛なんてめんどくさいだけだし」
 返す言葉も見つからず、俺は押し黙る。
「あーやめようぜこんな話! 気分悪くなるし! 俺ちょっとソファの会計してくるわ! 海里はここで待っててー」
 黙った俺を見てから零次はあたまをバツが悪そうにぐしゃぐしゃとかいて、会計を済ませにいった。

 会計を終えると、俺と零次はホームセンターの二階にあったフードコートにたこ焼きを食べに行った。
 たこ焼きはねぎやてりたま、明太マヨなど通常のマヨネーズとソースのトッピングの他に、いろいろなトッピングのがあった。
「海里、どれ食う?」
「ねぎ」
「へえ? 俺は明太マヨにしようかなぁ。それで二人で食べあいでもしようぜ」
「する!」
 食べ合いなんてしたことないから気分が高揚して、俺は声を上げて頷いた。
「ククっ。じゃあ俺注文してくるから、海里席選んでて。テラスと普通のテーブル席とあるから、好きなとこ選んで座って待ってていいよ。それで席決まったら俺にどこらへんか連絡して」
 阿古羅はそう言って、喉を鳴らして笑ってから、たこ焼きの列に並ぼうとした。
 列は十人ほど並んでて、注文するだけでもだいぶ時間がかかりそうだった。
「注文だけなら、俺するけど?」
「いいから、選んで来い。テラス、見に行きたいんだろ?」
 思わず頬が赤くなる。
 ――図星だ。
 本当はテラス席でご飯を食べたことなんてないから、興味がわいてた。
「俺をごまかせると思うなよ? ほら、行った行った」
 零次はそう言うと、俺を後ろから押して、テラスの入り口の前に追いやった。
「れっ、零次!」
「早くドア開けないと、後ろつっかえるぞ?」
 軽口を叩いて、零次は笑う。
「……ありがと」
 俺は小さな声で礼をいって、入り口のドアを開けて中に入った。

 テラス席は鉄製の丸いテーブルの周りにこれまた鉄製の椅子が二つか四つ置かれたのと、長い木製のテーブルの両隣に、これまた長いベンチが置かれたのの二種類があった。
 席は平日だからか、二人だけで長い机のを使っても、誰にも文句を言われなそうなくらいに空いていた。
 一分ほど迷ってから、俺はテラスの真ん中らへんの長い机と、長いベンチがあるところに行って、ベンチの端に座った。