僕は極力、他人と関わりをもちたくない。
誰とでも距離を置いている。
だから、人が多いところは地獄だ。
気分が悪くなる。
「ねぇ、なにそれー。ふざけんなよ」
「ふざけてないし。まじめに言ってる……あ、ごめんね」
【63.143】
すれ違った拍子に肩が当たり見えた数字。
「……いえ」
短く返事をしてから、早足でその場を離れる。
見たくもない。
他人の余命なんて知りたくもない。
人が多ければ接触する確率も上がる。
だから学校は憂鬱極まりない。
「お前、昨日彼女とどうだったんだよ」
「は?言わねぇし」
「照れんなよ」
「おい、押すなっ」
横から騒いでる男子が突然目の前に出てきてぶつかる。
【20.221】
また見える数字。
この人はあと20年しか生きられない。
今は高校2年生だから、37歳で死ぬ。
早すぎる運命。
……だから、知りたくないんだよ。
こうしてふざけて笑っているけど、常に“死”がつきまとっている。
カウントダウンは止まらない。
どんな時でも、“死”を突き付けてくる。