翌日は森へ行った。幸い、良く晴れたのだ。遊歩道を歩いているだけで、木漏れ日が落ちてきてとても美しく、心が洗われるようだった。
森の奥には小さな小屋があり、そこで軽く過ごせるようになっている。外のベンチなどでお茶を飲むことができるのだ。
お茶は勿論フレンが淹れてくれた。森の中にぴったりの、アイスハーブティー。すっきりとした飲み心地のお茶はまるで森の空気を飲んでいるような味がした。
「ねぇグレイス! たくさんお花が咲いているわ。これ、去年はなかったわね」
森の外れまできてマリーが嬉しそうな声をあげた。そこには白くて小さめの花が咲いていた。
「本当に。なんのお花かしら」
近付いて見てみたけれど、グレイスにはわからなかった。特に派手でもない。
しかし近付いてみればふわっと良い香りがした。なにか、知っているような香りのような気がするけれど。
ちょっと考えたけれど、その答えはフレンがくれた。ちょうど近くに控えていてくれたのだ。
「ジャスミンですね。よくお茶になっているあれですよ」
「そうなの! 相変わらずフレンは博識ね」
グレイスはそれを聞いて嬉しくなってしまう。
不思議だ、ただ家で、アフレイド領の本来の家で過ごしているときはこんな会話、日常のことであるのに。旅行先というだけでなんだか新鮮に感じられるのだ。
「去年はまだ花がついていなかったのでしょうね」
確かに茂っている草だけはあった気がする、と去年のことを思い出す。
そこで去年のことを懐かしく思い出してしまった。
去年。今回のようにダージルもロンもおらずに、マリーと一緒に森の散策をした。
フレンも一緒に。
あのときはまさか、次の年に自分が婚約していようなどとは思わなかったけれど……。
なんだかとても遠くへ来てしまったような錯覚をグレイスは感じた。
森の奥には小さな小屋があり、そこで軽く過ごせるようになっている。外のベンチなどでお茶を飲むことができるのだ。
お茶は勿論フレンが淹れてくれた。森の中にぴったりの、アイスハーブティー。すっきりとした飲み心地のお茶はまるで森の空気を飲んでいるような味がした。
「ねぇグレイス! たくさんお花が咲いているわ。これ、去年はなかったわね」
森の外れまできてマリーが嬉しそうな声をあげた。そこには白くて小さめの花が咲いていた。
「本当に。なんのお花かしら」
近付いて見てみたけれど、グレイスにはわからなかった。特に派手でもない。
しかし近付いてみればふわっと良い香りがした。なにか、知っているような香りのような気がするけれど。
ちょっと考えたけれど、その答えはフレンがくれた。ちょうど近くに控えていてくれたのだ。
「ジャスミンですね。よくお茶になっているあれですよ」
「そうなの! 相変わらずフレンは博識ね」
グレイスはそれを聞いて嬉しくなってしまう。
不思議だ、ただ家で、アフレイド領の本来の家で過ごしているときはこんな会話、日常のことであるのに。旅行先というだけでなんだか新鮮に感じられるのだ。
「去年はまだ花がついていなかったのでしょうね」
確かに茂っている草だけはあった気がする、と去年のことを思い出す。
そこで去年のことを懐かしく思い出してしまった。
去年。今回のようにダージルもロンもおらずに、マリーと一緒に森の散策をした。
フレンも一緒に。
あのときはまさか、次の年に自分が婚約していようなどとは思わなかったけれど……。
なんだかとても遠くへ来てしまったような錯覚をグレイスは感じた。