「マリーもとても素敵よ。水色がやっぱり似合うわ」
 グレイスは立ち上がって、マリーの外見を頭から靴まで眺めた。シルバーの髪は淑女らしく結い上げられていて、大人っぽい印象。水色のドレスはシフォン素材がたくさん使われていて軽やかな印象だった。ピンクをまとっているグレイスとは、正反対の色味であったといえよう。
「ありがとう。プレゼントはフレンに渡しておいたから」
 グレイスの褒め言葉にマリーもお礼を言ってくれ、そして嬉しいことも言ってくれた。
「そうなの! 嬉しいわ」
 フレンのほうをちらっと見ると、フレンはにこっと笑う。きっと既に特別な場所に置いておいてくれたのだろう。マリーのセンスが良いことは、よく知っているのでグレイスは既に楽しみになってしまう。
 マリーとグレイスは外見はともかく、このドレスが表しているように好むものはだいぶ違う。
 でもマリーは自分の好みのものよりも、グレイスが好みそうなものを毎回選んで贈ってくれるのだ。それは二歳とはいえ、年下の子に贈るのだから気遣ってくれているのだろう。
 その気持ちが嬉しい、と思う。だからきっと、そのプレゼントにも自分が気に入るようなものが入っているに決まっている。今から開けるのが楽しみになってしまった。
 そこから近況やら、夏に行く避暑地への旅行の話やら、何気ないおしゃべりがはじまったけれど、ふとマリーが声をひそめて顔を寄せてきた。
「そういえばグレイス。今日はなにか良いことがあるのですって?」
 言われてどきっとした。マリーの耳には入っているというのか。
 それはそうかもしれない。身近なひとたちは把握していてもおかしくないのだから。親戚であるマリーが知っていても。
「え、ええ……そう、なの」
 でもどこまで知られているのかはわからない。グレイスの声は小さくひそめて、曖昧に肯定するものになった。