花やリボンで豪華にかわいらしく飾られた広間。グレイスの誕生日なのでピンクや白などの明るくてかわいらしい色がふんだんに使われていて、女の子らしい雰囲気がたっぷり出ていた。
端のテーブルには、こちらも豪勢な料理が並べられている。サラダ、前菜、大きなパイ、鶏と野菜のグリル、ローストビーフ……。それにスイーツ類だって。タルト、プリン、チョコレートやチーズのケーキ……どれから食べるか、普段なら悩んでしまっただろう。
悩む余地がなかったのは、本日の主役のグレイスは自分の好きなものを選んで取る、ということができなかったからだ。料理もスイーツも、飲み物もすべて勝手に運ばれてきた。それは下の使用人によって。
なのにグレイスの好物ばかり皿には乗っていた。
それに気付いたとき、グレイスはだいぶくすぐったくなってしまう。料理を取り分け、持ってきてくれたのは下の使用人であるだろうけれど、なにをどれだけ持ってくるかの指示は、きっとフレンがしてくれたのだろうから。そうでなければこんなに好きなものばかり並んでいないはずだ。
食べるものに集中するというわけにはいかなかったけれど、そう感じられるだけでとても嬉しかった。
「グレイス、おめでとう」
「良い淑女になったね」
親戚や知り合いのお家の人々がかわるがわるやってきて、グレイスに祝いの言葉をくれた。贈り物を一緒にくださる方も多かった。それらはグレイスが「ありがとうございます」と受け取ったあとは、フレンがお客様の名前を書いたタグをつけて、更に下の使用人へと渡されていくのだった。
「グレイス、今日はいつも以上にかわいらしいわね」
その中で一人の若い女性がやってきた。濃い目のシルバーの髪に、やわらかな翠の瞳。少しだけグレイスに似た顔立ちや外見の彼女は、グレイスの従姉妹である。
「マリー! ありがとう」
グレイスよりふたつ年上の彼女・マリーは十八歳。年上ではあるけれど、たった二歳だ。子供の頃から家の行き来が頻繁だったこともあり、よく遊んでいた。今だって一ヵ月に一度は会っているだろう。
端のテーブルには、こちらも豪勢な料理が並べられている。サラダ、前菜、大きなパイ、鶏と野菜のグリル、ローストビーフ……。それにスイーツ類だって。タルト、プリン、チョコレートやチーズのケーキ……どれから食べるか、普段なら悩んでしまっただろう。
悩む余地がなかったのは、本日の主役のグレイスは自分の好きなものを選んで取る、ということができなかったからだ。料理もスイーツも、飲み物もすべて勝手に運ばれてきた。それは下の使用人によって。
なのにグレイスの好物ばかり皿には乗っていた。
それに気付いたとき、グレイスはだいぶくすぐったくなってしまう。料理を取り分け、持ってきてくれたのは下の使用人であるだろうけれど、なにをどれだけ持ってくるかの指示は、きっとフレンがしてくれたのだろうから。そうでなければこんなに好きなものばかり並んでいないはずだ。
食べるものに集中するというわけにはいかなかったけれど、そう感じられるだけでとても嬉しかった。
「グレイス、おめでとう」
「良い淑女になったね」
親戚や知り合いのお家の人々がかわるがわるやってきて、グレイスに祝いの言葉をくれた。贈り物を一緒にくださる方も多かった。それらはグレイスが「ありがとうございます」と受け取ったあとは、フレンがお客様の名前を書いたタグをつけて、更に下の使用人へと渡されていくのだった。
「グレイス、今日はいつも以上にかわいらしいわね」
その中で一人の若い女性がやってきた。濃い目のシルバーの髪に、やわらかな翠の瞳。少しだけグレイスに似た顔立ちや外見の彼女は、グレイスの従姉妹である。
「マリー! ありがとう」
グレイスよりふたつ年上の彼女・マリーは十八歳。年上ではあるけれど、たった二歳だ。子供の頃から家の行き来が頻繁だったこともあり、よく遊んでいた。今だって一ヵ月に一度は会っているだろう。