ジリジリジリジリー

今日も目覚まし時計が、俺に意地悪をしてくる。
夜型の俺は朝が嫌いで、スマホの音だけでは起きられないからと、この大音量の目覚まし時計を買った。

訂正。買わされたんだ。

朝の身支度を終わらせ、リビングに行くと、新婚の妻、優がおはようと言った。

「おはよう」
と、俺。
ちなみに俺は、霧元勇大だ。

今日も優の美味い朝飯をたべ、出勤だ。

「行ってらっしゃい。頑張って来てね!」
「おう。じゃ、行ってくる。」

満員電車で押し潰され、少し細くなった俺は勤務先の薬品会社へと向かった。

「はよ。」

曖昧な挨拶をしてくるコイツは、青先翔平だ。

「はよ。朝は随分早いんだな。」
「夜も早いぜ。」