太陽に憧れた少女 ~私の大切な思い出~

side葉月

「えー。では、毎年恒例のクラスの仲を深めるための宿泊行事の班決めをしまーす。男女2人づつの4人組をつくれー。」

担任、山本のだるそうな声を合図にみんなが立つ。

私は迷わずかえでのところに行った。

「かえで!」
「葉月!一緒に組も!」
「うん!」

よし!決まった!
あとはー、男子。

「かえでー。」
「あ、将吾!」
「組もうぜ」
「いいよ〜。いい?葉月」
「うん。勿論。」

松原将吾くん。かえでの部活仲間で、仲がいいらしい。

「チッ。女と一緒なんて。」

この声は…。確か、女嫌いの小城駿斗くん。
すっごくモテる…らしい。

「おーい。何言ってんだよ。葉月ちゃんも一緒だぜ?」

何故私が出てくる?

無言で私を見る小城くん。
「許す。」

ん?何を?

「な〜。だよなぁ。」

なんか松原くんニヤニヤしてるし。

「ほ〜。そゆことね〜」

かえではなんかわかったみたい

「どういうこと?」
「んー、秘密よ」
「えー。」

教えてくれないなんて。
まあ、班は決まったし、良しとするか!

その後は、どこをどう回るかとか、夜ご飯のメニューとかを決めた。

行き先は北海道らしい。
きゃー!海鮮丼たべたーい!

スムーズに決まり、話し合いの時間は終わった。

私は…みんなと一緒には回れない。
だから、買い出し係になった。
少しは役に立ちたいからね!

        【恋心】
side駿斗

俺には…好きな人がいる。
女嫌いの俺に、好きな女が出来た。
信じられないことだ。

相手は夜奈葉月。

入学式の新入生挨拶に出ていた。

俺は、入学式なんて寝る気しか無かった。

「新入生代表。夜奈葉月さん。」
「はい。」

その、透き通った声で眠気が覚めたんだ。

壇上を見ると、
 
「うわぁ」
声を出さずには居られないほど美しい人がたっていた。

ああ、好きだ。

こんなにもすんなり気持ちが分かるなんて、驚いた。
そして、好きな人が出来たことにもっと驚いた。

同じクラスだと知って、少し、いや結構嬉しかった。

やっぱり、夜奈は美人で、その硝子玉みたいな輝いている目を見て、また惚れた。
何回惚れればいいんだろう。

でも、1つ気になることがあった。

夜奈はいつも暑苦しい服装をしている。

夜奈は美人だから、注目を浴びている。
きっと学年の男子は殆どが好きだろう。
先輩も狙っていると聞いたことがある。

だからこそ、こんな格好をしていたら目立つ。

実際、裏でその格好を馬鹿にしたりしている奴はいない。
みんな美人だと騒いでいる。男女関係なく。

でも、だからこそやっぱり、みんなその格好が気になるのだ。
でも、聞いていけないような、そんなオーラをいつも隣にいる南かえでが醸し出している。

だから、誰も聞けない。

結局、誰も聞けぬまま時はすぎ、宿泊行事の班決め。

女がいるなんて、最悪以外何物でもない。

仲のいい将吾は、すぐに女を見つけた。
思わず舌打ちしてしまった。
でも、そこに夜奈が居た。

もう、何もかもどうでも良くなった。
同じ班に女がいるとか、そんなこと。

夜奈が居た。それだけで嬉しかった。

自分でも、よくキモイなって思う。
   【宿泊行事に行ってきます】