王子は眉をひそめる。そりゃそうだ。普通に聞いてたら頭のおかしい子だと思われる。

わたしはちょっとだけ髪をかきあげて、王子にそれが見えるようにした。

「わたしの耳、先が尖ってるでしょ?
多くの同胞たちは耳の尖った部分を切りとって地球人に似せているけど、わたしの耳は故郷では馬鹿にされるほど小さかったから、切らずにそのままにしてるの。
わたし地球人じゃないんだ。
わたしのいた星は、多分今頃太陽みたいな星に飲み込まれて溶けちゃってる」

驚いて固まってる王子。

「宇宙は広いんだよ」

笑って両手を広げたら、風がびゅうっと吹いて飛んでいきそうになった。

王子が咄嗟に腕を伸ばして掴まえてくれたから、嬉しくなってその横顔にキスしてみた。

「今はない国の王子様と、今はない星のお姫様だよ。わたしたちお似合いじゃない?」