「ご、ごめんなさい……」
三十分ほどして、フィーが落ち着いて……
冷静になると同時に顔を赤くして、ぺこりと頭を下げた。
妙な罪悪感は完全に消えていないみたいだけど……
それだけじゃなくて、羞恥の感情が伺える。
この歳で思い切り甘えたことを恥ずかしく思っているのだろう。
でも、そんなこと気にしないでほしい。
妹は姉に甘えるもの。
どんどん、もっともっと、とことん、究極的に甘えてほしい。
……私、欲望満載だな。
「ところで、私からもお願いがあるのですが」
「な、なんですか?」
「私はシルフィーナのことが好きですが、できるならシルフィーナも私のことを好きになってほしいです」
「ふぇ」
フィーの顔が赤くなる。
照れているのだろう。
かわいいやつめ。
「姉妹として家族として、仲良くなりたくて……そのための一歩として、愛称で呼んでもいいですか?」
「愛称……ですか」
「シルフィーナだから、フィー……なんてどうですか?」
「……フィー……」
考えるような顔になって……
次いで、花のように愛らしく笑う。
「その、あの……急にこんなことになって驚いていますけど、でも、うれしいです。その……フィーでお願いします」
「はい。これからもよろしくお願いしますね、フィー」
「は、はい」
ようやく、前回と同じ立場に戻ることができたけど……
それは、わりとどうでもいいことだった。
それよりも、大事な大事な妹に笑顔が戻った。
場に合わせるための仮初の笑顔ではなくて、心からの本物の笑顔。
そのことが一番うれしい。
「あ、あの」
どこか迷いを秘めた様子で、フィーがこちらを見た。
「はい?」
「えっと、その……」
「どうしたんですか?」
「……私も、アリーシャさまのことを愛称で呼んでも……い、いいですか?」
「え?」
フィーが、私のことを愛称で?
前回はなかったイベントだ。
そのせいで、ついつい驚いてしまったけど……
「ええ、もちろんですよ」
反対なんてするわけがない。
大賛成。
フィーに愛称で呼んでもらえる……あぁ、なんて素敵なことなのだろう。
うれしさのあまり、昇天してしまいそうになった。
わりと本気で。
「フィーは、私にどんな愛称をつけてくれるのですか?」
「あ……許可をもらうことだけを考えていて、愛称のことは忘れていました……」
「ふふ、ドジですね」
「うぅ……アリーシャさま、ちょっと意地悪です」
「かわいいから、ついつい、いじめたくなってしまうのです」
子供のような気分だ。
なだめるために、フィーをもう一度、抱きしめる。
「んー……」
真面目な妹は、どんな愛称がいいか考え始めた。
口元に指先をやり、視線をさまよわせつつ、考える。
「アリー姉さま……なんて、ど、どうでしょうか?」
「……」
「だ、ダメですか……?」
「はっ」
最愛の妹に愛称で呼ばれる。
素敵すぎることに、一瞬、意識が飛んでいた。
何事もないフリをして、フィーに笑いかける。
「とても素敵だと思います」
「本当ですか?」
「もちろんです、フィー」
「えっと、それじゃあ……これからは、アリー姉さまで……」
恥ずかしそうにしながらも、フィーはしっかりと言う。
いや、もうね……
天使か!
妹の愛らしさに悶え、心の中で叫んだ。
ただ、表面上はなにも変わらず、にこにこと笑っている。
愛情表現を全力でしてもいいのだけど……
同時に姉の威厳というものが失われてしまいそうなので、ほどほどがいい。
「あ、あと、もう一つお願いが……」
「今日のフィーは、たくさんお願いがあるのですね」
「ご、ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。妹に頼られることは、姉としてうれしいですから」
「えっと……お茶をしませんか、アリー姉さま」
「はい、喜んで」
三十分ほどして、フィーが落ち着いて……
冷静になると同時に顔を赤くして、ぺこりと頭を下げた。
妙な罪悪感は完全に消えていないみたいだけど……
それだけじゃなくて、羞恥の感情が伺える。
この歳で思い切り甘えたことを恥ずかしく思っているのだろう。
でも、そんなこと気にしないでほしい。
妹は姉に甘えるもの。
どんどん、もっともっと、とことん、究極的に甘えてほしい。
……私、欲望満載だな。
「ところで、私からもお願いがあるのですが」
「な、なんですか?」
「私はシルフィーナのことが好きですが、できるならシルフィーナも私のことを好きになってほしいです」
「ふぇ」
フィーの顔が赤くなる。
照れているのだろう。
かわいいやつめ。
「姉妹として家族として、仲良くなりたくて……そのための一歩として、愛称で呼んでもいいですか?」
「愛称……ですか」
「シルフィーナだから、フィー……なんてどうですか?」
「……フィー……」
考えるような顔になって……
次いで、花のように愛らしく笑う。
「その、あの……急にこんなことになって驚いていますけど、でも、うれしいです。その……フィーでお願いします」
「はい。これからもよろしくお願いしますね、フィー」
「は、はい」
ようやく、前回と同じ立場に戻ることができたけど……
それは、わりとどうでもいいことだった。
それよりも、大事な大事な妹に笑顔が戻った。
場に合わせるための仮初の笑顔ではなくて、心からの本物の笑顔。
そのことが一番うれしい。
「あ、あの」
どこか迷いを秘めた様子で、フィーがこちらを見た。
「はい?」
「えっと、その……」
「どうしたんですか?」
「……私も、アリーシャさまのことを愛称で呼んでも……い、いいですか?」
「え?」
フィーが、私のことを愛称で?
前回はなかったイベントだ。
そのせいで、ついつい驚いてしまったけど……
「ええ、もちろんですよ」
反対なんてするわけがない。
大賛成。
フィーに愛称で呼んでもらえる……あぁ、なんて素敵なことなのだろう。
うれしさのあまり、昇天してしまいそうになった。
わりと本気で。
「フィーは、私にどんな愛称をつけてくれるのですか?」
「あ……許可をもらうことだけを考えていて、愛称のことは忘れていました……」
「ふふ、ドジですね」
「うぅ……アリーシャさま、ちょっと意地悪です」
「かわいいから、ついつい、いじめたくなってしまうのです」
子供のような気分だ。
なだめるために、フィーをもう一度、抱きしめる。
「んー……」
真面目な妹は、どんな愛称がいいか考え始めた。
口元に指先をやり、視線をさまよわせつつ、考える。
「アリー姉さま……なんて、ど、どうでしょうか?」
「……」
「だ、ダメですか……?」
「はっ」
最愛の妹に愛称で呼ばれる。
素敵すぎることに、一瞬、意識が飛んでいた。
何事もないフリをして、フィーに笑いかける。
「とても素敵だと思います」
「本当ですか?」
「もちろんです、フィー」
「えっと、それじゃあ……これからは、アリー姉さまで……」
恥ずかしそうにしながらも、フィーはしっかりと言う。
いや、もうね……
天使か!
妹の愛らしさに悶え、心の中で叫んだ。
ただ、表面上はなにも変わらず、にこにこと笑っている。
愛情表現を全力でしてもいいのだけど……
同時に姉の威厳というものが失われてしまいそうなので、ほどほどがいい。
「あ、あと、もう一つお願いが……」
「今日のフィーは、たくさんお願いがあるのですね」
「ご、ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。妹に頼られることは、姉としてうれしいですから」
「えっと……お茶をしませんか、アリー姉さま」
「はい、喜んで」