無事、私とアレックスの関係はヒュージに認められた。
ヒュージは、アレックスのお見合いを撤回してくれるという。
口約束ではあるが、信じられるだろう。
彼は欲望に忠実だから、公爵家との繋がりを優先するはず。
これで時間稼ぎは完了。
あとはこちらの準備を進めて……
ヒュージが正式にお見合いを撤回したタイミングで動くとしよう。
どこに目や耳があるかわからない。
私とアレックスは、しばらくの間、恋人のフリを続けて……
水面下で色々と準備をして……
そして、全ての準備が完了した。
さあ、行動に移ろう。
――――――――――
「みなさん、今日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます」
ランベルト家の屋敷で盛大なパーティーが開かれた。
私とアレックスの婚約発表が目的なのだろうけど、まだ内容は伏せられている。
アレックス曰く、ヒュージはサプライズが好きで、ギリギリまで秘密にしておくつもりなのだろう……とのこと。
なるほど、悪くない。
事前に発表してしまうと期待値は下がり、盛り上がりに欠けてしまう。
でも、秘密にしておくことで期待値が上がる。
秘密にされていた内容がつまらないものであれば、最高に盛り下がるだろうが……
公爵家との婚約ならば問題はない。
最高に盛り上がるだろう。
まあ、そのままうまくいくわけがないのだけど。
「突然のこと、そして、内容がふせられたままであることを不思議に思っている方も多いでしょう。その点については、謝罪させていただきたい。申しわけありません」
芝居めいた感じで、ヒュージが頭を下げる。
謝罪という形をとっているものの、その口元から笑みはとれていない。
これからのことを考えると、どうしても笑みがこぼれてしまうのだろう。
バカな男。
その笑みは、すぐに凍りつくとも知らず。
「とても大事な問題故、今まで秘密にさせていただきました。ご容赦願いたい。しかし、その内容を聞けば納得していただけるでしょう。そして、祝福していただけるでしょう」
会場にいるのは、たくさんの貴族達。
大きな力を持つ者ばかりだ。
それと、ドレスなどで正装した私とフィー。
アレックスにジーク。
ネコもいる。
「……」
ちらりと、ジークを見た。
問題ないというように、彼は小さく頷いて見せる。
それから、隣のアレックスを見る。
「……大丈夫だ」
彼は緊張していた。
それでも、気丈な表情を浮かべている。
アレックスなら逃げるようなことは絶対にしないと信じているのだけど……
でも、少し不安だ。
この後の作戦は、彼がキーとなるのだから。
「アレックス」
ふと、フィーが声をかけた。
「アレックスなら、大丈夫です。きっとうまくいくと思います」
「……シルフィーナ……」
「絶対に大丈夫です。絶対の絶対です」
「……ありがとう」
「はい」
天使のようなフィーのおかげで、アレックスの緊張はほどよくとれたみたいだ。
緊張の表情が力強いものに変化する。
うん。
さすが、フィー。
ヒーローを励まして、その力になるというメインヒロインの役目をきっちりと果たしている。
やっぱり、私の妹は天使そのものだ。
でも、アレックス。
そんなにうれしそうにしないで。
友達ならいいけど、恋人はまだダメ。
フィーはあげません!
「……では、そろそろ本題に移るとしましょう。これ以上、みなさまをお待たせしたら失礼ですからな」
おっと、いけない。
ヒュージの話は、そろそろクライマックスに差し掛かろうとしていた。
こちらも動く番だ。
みんなにアイコンタクトを送る。
問題はない。
準備はバッチリだ。
そんな答えが返ってきた。
うん。
みんな、とても頼もしい。
さあ……始めましょうか。
「本日、みなさま方に集まっていただいたのは、私の息子……アレックスに関することです。この度、アレックスは……」
「父上を追放して、ランベルト家の正当な後継者となることをここに宣言します!」
ヒュージの言葉にかぶせるようにして、アレックスが力強く言い放った。
ヒュージは、アレックスのお見合いを撤回してくれるという。
口約束ではあるが、信じられるだろう。
彼は欲望に忠実だから、公爵家との繋がりを優先するはず。
これで時間稼ぎは完了。
あとはこちらの準備を進めて……
ヒュージが正式にお見合いを撤回したタイミングで動くとしよう。
どこに目や耳があるかわからない。
私とアレックスは、しばらくの間、恋人のフリを続けて……
水面下で色々と準備をして……
そして、全ての準備が完了した。
さあ、行動に移ろう。
――――――――――
「みなさん、今日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます」
ランベルト家の屋敷で盛大なパーティーが開かれた。
私とアレックスの婚約発表が目的なのだろうけど、まだ内容は伏せられている。
アレックス曰く、ヒュージはサプライズが好きで、ギリギリまで秘密にしておくつもりなのだろう……とのこと。
なるほど、悪くない。
事前に発表してしまうと期待値は下がり、盛り上がりに欠けてしまう。
でも、秘密にしておくことで期待値が上がる。
秘密にされていた内容がつまらないものであれば、最高に盛り下がるだろうが……
公爵家との婚約ならば問題はない。
最高に盛り上がるだろう。
まあ、そのままうまくいくわけがないのだけど。
「突然のこと、そして、内容がふせられたままであることを不思議に思っている方も多いでしょう。その点については、謝罪させていただきたい。申しわけありません」
芝居めいた感じで、ヒュージが頭を下げる。
謝罪という形をとっているものの、その口元から笑みはとれていない。
これからのことを考えると、どうしても笑みがこぼれてしまうのだろう。
バカな男。
その笑みは、すぐに凍りつくとも知らず。
「とても大事な問題故、今まで秘密にさせていただきました。ご容赦願いたい。しかし、その内容を聞けば納得していただけるでしょう。そして、祝福していただけるでしょう」
会場にいるのは、たくさんの貴族達。
大きな力を持つ者ばかりだ。
それと、ドレスなどで正装した私とフィー。
アレックスにジーク。
ネコもいる。
「……」
ちらりと、ジークを見た。
問題ないというように、彼は小さく頷いて見せる。
それから、隣のアレックスを見る。
「……大丈夫だ」
彼は緊張していた。
それでも、気丈な表情を浮かべている。
アレックスなら逃げるようなことは絶対にしないと信じているのだけど……
でも、少し不安だ。
この後の作戦は、彼がキーとなるのだから。
「アレックス」
ふと、フィーが声をかけた。
「アレックスなら、大丈夫です。きっとうまくいくと思います」
「……シルフィーナ……」
「絶対に大丈夫です。絶対の絶対です」
「……ありがとう」
「はい」
天使のようなフィーのおかげで、アレックスの緊張はほどよくとれたみたいだ。
緊張の表情が力強いものに変化する。
うん。
さすが、フィー。
ヒーローを励まして、その力になるというメインヒロインの役目をきっちりと果たしている。
やっぱり、私の妹は天使そのものだ。
でも、アレックス。
そんなにうれしそうにしないで。
友達ならいいけど、恋人はまだダメ。
フィーはあげません!
「……では、そろそろ本題に移るとしましょう。これ以上、みなさまをお待たせしたら失礼ですからな」
おっと、いけない。
ヒュージの話は、そろそろクライマックスに差し掛かろうとしていた。
こちらも動く番だ。
みんなにアイコンタクトを送る。
問題はない。
準備はバッチリだ。
そんな答えが返ってきた。
うん。
みんな、とても頼もしい。
さあ……始めましょうか。
「本日、みなさま方に集まっていただいたのは、私の息子……アレックスに関することです。この度、アレックスは……」
「父上を追放して、ランベルト家の正当な後継者となることをここに宣言します!」
ヒュージの言葉にかぶせるようにして、アレックスが力強く言い放った。