「え?」
思わぬ謝罪を受けて、ついつい呆けてしまう。
私、なぜ謝罪をされているのだろう?
そんな私を気にすることなく、アレックスは言葉を続ける。
「その薬……シルフィーナのために買ったんだろ? それなのに、悪巧みをしてるとか邪推して……悪かったよ」
あらまあ。
なんて素直。
できることなら、普段からこうして素直であってほしい。
というか、素直すぎないか?
「失礼ですが……いつもならそのように謝罪はしないと思うのですが、どうして、今日に限って私のやろうとしていることを信じて、認めてくれたのですか?」
「あー、それは……」
疑問を重ねてみると、アレックスは更に気まずそうな顔に。
その表情に、以前まであった、私への悪感情はない。
「……よ」
「え?」
「……そっちも悪かったよ」
重ねて謝罪をされた。
はて?
なんのことだろう。
私の疑問を察した様子で、アレックスは気まずそうにしつつ、説明をする。
「あんたが嫌なヤツっていう噂がいっぱいで、俺、それに流されてて……でも、間違いだったよ。シルフィーナのことをちゃんと考えている、良い姉だったんだな。悪い噂も、なんか、適当なものばかりみたいだし……悪かった」
そう言って、アレックスは頭を下げた。
その行動は意外だけど……
ただ、どこかでこうなればいいな、とは思っていた。
それは楽観的な希望ではなくて……
とある作戦がうまくいけばいいな、というヤツ。
ゼノスを攻略しようと決めたものの、保険は必要だ。
節操なさすぎるのだけど……
やっぱりヒーローの方がうまくいきそうだ、ということもあるかもしれない。
……いや。
ほんとに節操ないな、私。
八方美人も良いところだ。
それについて悩まないではないのだけど……
まあ、悪役令嬢なのだから気にしないでおこう。
と、開き直ることにした。
話を戻そう。
保険のため、現時点でヒーローのマイナスの好感度をなんとかする必要があった。
そのためにスマホを利用することにした。
ネットに接続できないけれど……
写真や動画の撮影。
ボイスレコーダーに、様々なアプリ。
この世界にとって、完全なオーバーテクノロジー。
そんなスマホを駆使すれば、私にかけられたあらぬ疑いを晴らすことは簡単だ。
スマホを使った情報をあちらこちらに流して、私の黒い噂を払拭してやればいい。
まあ、即効性は期待できないから、以前から、コツコツと作業をしていたのだけど……
それがうまい具合に、今になって効果が出てきたようだ。
「いえ、私は気にしていないので」
「本当か……?」
「はい。本当に気にしていません」
「あー……でも、俺の気が済まない。本当に悪かった! だから、なんていうか……シルフィーナの姉ならちゃんと仲良くしておきたいし、あー……俺になにかできることはないか!?」
「え? それはどういう意味ですか?」
「なんかこう、謝罪っていうか、なにかあんたのためにしたいんだよ。それで、せめてもの罰としたいというか……そんな感じだ」
つまり、罰をくれ、ってことか。
そうでもしないとアレックスは、自分を許すことができないのだろう。
不器用な人だ。
でも、そんなところが愛しく思う。
「そうですね。それでは……」
「なんでも言ってくれ。なんでもする」
「では、私と友達になっていただけませんか?」
「は?」
アレックスの目が丸くなる。
なにを言っているんだ? という感じだ。
気にせず、笑顔で話を続ける。
「あなたとは仲良くなりたいと思っていたので……誤解が解けたのなら、仲良くしていただけるとうれしいです」
「それは、俺がシルフィーナの幼馴染だからか?」
「はい、そうですね」
「……正直な人だな、あんた」
アレックスが苦笑した。
よかった。
ここで、シルフィーナは関係ない、というようなことを言っていたら、彼の不信感を買っていただろう。
「ホント、噂ってアテにならないな……こうして話してみると、あんた、普通に良いヤツだし。はぁ……それなのに、今まで俺はなにをしていたのか」
「アリーシャ、でお願いします」
「うん?」
「できれば、私のことは、アリーシャと名前で呼んでください」
「いいのか?」
「はい、アレックス」
私から先に名前を呼んでみた。
すると、アレックスは目を丸くして、
「くっ、ははは!」
楽しそうに笑う。
「あんた、本当に面白いな……いや」
アレックスは、にかっと、気持ちのいい笑みを見せる。
「アリーシャは面白いな」
「ありがとうございます」
私達は握手を交わして……
そして、友達になった。
遅すぎるスタートだけど、ようやくアレックスの好感度をプラスマイナスゼロに戻すことができた。
やれやれ、先は長い。
思わぬ謝罪を受けて、ついつい呆けてしまう。
私、なぜ謝罪をされているのだろう?
そんな私を気にすることなく、アレックスは言葉を続ける。
「その薬……シルフィーナのために買ったんだろ? それなのに、悪巧みをしてるとか邪推して……悪かったよ」
あらまあ。
なんて素直。
できることなら、普段からこうして素直であってほしい。
というか、素直すぎないか?
「失礼ですが……いつもならそのように謝罪はしないと思うのですが、どうして、今日に限って私のやろうとしていることを信じて、認めてくれたのですか?」
「あー、それは……」
疑問を重ねてみると、アレックスは更に気まずそうな顔に。
その表情に、以前まであった、私への悪感情はない。
「……よ」
「え?」
「……そっちも悪かったよ」
重ねて謝罪をされた。
はて?
なんのことだろう。
私の疑問を察した様子で、アレックスは気まずそうにしつつ、説明をする。
「あんたが嫌なヤツっていう噂がいっぱいで、俺、それに流されてて……でも、間違いだったよ。シルフィーナのことをちゃんと考えている、良い姉だったんだな。悪い噂も、なんか、適当なものばかりみたいだし……悪かった」
そう言って、アレックスは頭を下げた。
その行動は意外だけど……
ただ、どこかでこうなればいいな、とは思っていた。
それは楽観的な希望ではなくて……
とある作戦がうまくいけばいいな、というヤツ。
ゼノスを攻略しようと決めたものの、保険は必要だ。
節操なさすぎるのだけど……
やっぱりヒーローの方がうまくいきそうだ、ということもあるかもしれない。
……いや。
ほんとに節操ないな、私。
八方美人も良いところだ。
それについて悩まないではないのだけど……
まあ、悪役令嬢なのだから気にしないでおこう。
と、開き直ることにした。
話を戻そう。
保険のため、現時点でヒーローのマイナスの好感度をなんとかする必要があった。
そのためにスマホを利用することにした。
ネットに接続できないけれど……
写真や動画の撮影。
ボイスレコーダーに、様々なアプリ。
この世界にとって、完全なオーバーテクノロジー。
そんなスマホを駆使すれば、私にかけられたあらぬ疑いを晴らすことは簡単だ。
スマホを使った情報をあちらこちらに流して、私の黒い噂を払拭してやればいい。
まあ、即効性は期待できないから、以前から、コツコツと作業をしていたのだけど……
それがうまい具合に、今になって効果が出てきたようだ。
「いえ、私は気にしていないので」
「本当か……?」
「はい。本当に気にしていません」
「あー……でも、俺の気が済まない。本当に悪かった! だから、なんていうか……シルフィーナの姉ならちゃんと仲良くしておきたいし、あー……俺になにかできることはないか!?」
「え? それはどういう意味ですか?」
「なんかこう、謝罪っていうか、なにかあんたのためにしたいんだよ。それで、せめてもの罰としたいというか……そんな感じだ」
つまり、罰をくれ、ってことか。
そうでもしないとアレックスは、自分を許すことができないのだろう。
不器用な人だ。
でも、そんなところが愛しく思う。
「そうですね。それでは……」
「なんでも言ってくれ。なんでもする」
「では、私と友達になっていただけませんか?」
「は?」
アレックスの目が丸くなる。
なにを言っているんだ? という感じだ。
気にせず、笑顔で話を続ける。
「あなたとは仲良くなりたいと思っていたので……誤解が解けたのなら、仲良くしていただけるとうれしいです」
「それは、俺がシルフィーナの幼馴染だからか?」
「はい、そうですね」
「……正直な人だな、あんた」
アレックスが苦笑した。
よかった。
ここで、シルフィーナは関係ない、というようなことを言っていたら、彼の不信感を買っていただろう。
「ホント、噂ってアテにならないな……こうして話してみると、あんた、普通に良いヤツだし。はぁ……それなのに、今まで俺はなにをしていたのか」
「アリーシャ、でお願いします」
「うん?」
「できれば、私のことは、アリーシャと名前で呼んでください」
「いいのか?」
「はい、アレックス」
私から先に名前を呼んでみた。
すると、アレックスは目を丸くして、
「くっ、ははは!」
楽しそうに笑う。
「あんた、本当に面白いな……いや」
アレックスは、にかっと、気持ちのいい笑みを見せる。
「アリーシャは面白いな」
「ありがとうございます」
私達は握手を交わして……
そして、友達になった。
遅すぎるスタートだけど、ようやくアレックスの好感度をプラスマイナスゼロに戻すことができた。
やれやれ、先は長い。