それと、この地には私の他にも体の一部に人間とは違う特徴を持つ者も少なくなく、頭に獣の耳や悪魔のようなツノを生やしている人や、ふさふさの尻尾を持つ子供がそのあたりを歩いていたりする。その事が私の順応の早さに拍車をかけていたのかもしれない。
それに、慣れればこの世界も案外悪くない。確かに不自由に感じるところはあるが、街中を歩くだけでも楽しい。賑やかな市場、豪奢なお屋敷や、見事なステンドグラスの教会。まるで子供の頃に読んだ外国の本の世界に迷い込んだようで心が踊る。暇ができるたびに色々と散策に出かけるが、未だこの地の全貌を把握しきれていない。
なにしろここはこの世界に存在するメルリア王国で一番大きな都市。王都ラングラーズなのだ。