密室状態は避けるべきだったと、後悔を滲ませたそのセリフに関しては裕一郎の気持ちがわからなくもなかった。一人の女性として気遣ってくれていることくらいは恋幸にも理解できたからだ。
 しかし、問題は最後の部分である。


(不快な思い……? 私が?)


 片想いとはいえ、裕一郎と共に過ごす間『幸せ』以外に恋幸の心を表せられる言葉は存在しなかった。

 ――……きっと彼は、なにか大きな勘違いをしている。
 そう気づいてしまった瞬間、恋幸の頬は風船のようにぷっくりと膨れ上がり、考えるよりも先に体が動いていた。