それから恋幸は窓の外を流れる景色に目をやりつつ、時折、信号の色が変わるまでの時間を数えていた。こうしていれば、彼との間に存在するこの透明な空気に虹色を混ぜられるような『何か』を見つけられるかもしれない。
 そんな風に考える恋幸の耳を不意にくすぐったのは、


「……すみません」
「――っ!?」


 ぽつりと落とされた裕一郎の呟きだった。


「え……えっ? どう……なんで、倉本様が謝るんですか……?」