独創性の欠片もないが、車が好きな一般の成人男性相手であればそこそこの盛り上がりを期待できるであろう話題。
 だが、進行方向を見据えたままの裕一郎が返したのは「……そうでしょうか?」という、疑問形に縁取(ふちど)られたセリフで、


「そ、そう……なん、じゃ、ないですか……?」
「……はあ、そういうものですか。車種には特にこだわりや興味が無いものでして……今乗っている“これ”も、実績のあるディーラーに勧められた物を買っただけなので……」
「そ、そうなんですね!」
「はい、そうです」


 ――……以上。会話、終了。