恋幸は両手で口に蓋をしたまま左右に首を振るが、そんな嘘はお見通しだと言わんばかりに裕一郎は腕を組み彼女をまっすぐ見据えた。


「先ほども言いましたが、貴女は感情が顔に出ます。隠し事ができないタイプだと自覚してください」
「はいっ! あっ!」
「……」


 反射的に返事をしてしまう様子を見て一瞬口元の筋肉が緩むのを感じた裕一郎は、スマートフォンをポケットにしまい小さく咳払いする。

 それから、目線を足元に落としたままひどく落ち込んでいる恋幸の頭をぽんと撫でて「責めているわけではありません」と言葉を続けた。