(……そうだ、当たり前だ。こんなに素敵なんだから、恋人がいないわけない)


 そういった関係の存在を忘れていたのか、考えないようにしていたのか。恋幸は自分自身でもどちらなのかわからない。

 ただ……思い上がっていたのだ。
 自分は前世の彼と愛し合っていたのだから、今世でもきっと特別な存在だと思ってくれているだろう。そんな風に、勘違いしていた。


(……そんなわけ、なかったのに)
「小日向さん? どうしてこんな所に突っ立っているんです?」
「!!」