ここで「もー、裕一郎様ったらなに言ってるんですか! 前世? なんて、私そんなこと言ってませんよ!」と誤魔化すなり、何でもないフリをしたまま話題を変えることが出来なかった時点で、恋幸の『裕一郎攻略ルート』は“詰んだ”も同然である。


(せ、選択肢……エンド分岐(ぶんき)前の選択肢ミスっちゃった……っ)


 今……恋幸の脳内には、2つのバッドエンドシナリオが用意されていた。

 その1。前世について語るが、カルト宗教関係のヤバい女だと思われ「急用を思い出したので、今日は帰りますね」。そして二度と会えなくなる。
 その2。前世について説明したら妄想癖のあるヤバい女だとドン引きされ、「急用を思い出したので」以下同文。