事も無げに甘い言葉を投下され、恋幸はときめきのあまり心臓が一瞬止まってしまったかのような錯覚をおぼえる。
しかし裕一郎はそんな彼女をよそに、思い出したような声を出して人差し指の背で恋幸の紅色に染まった頬を柔くつついた。
「八重子さんに電話をかけた時に使っていたのは社用の通話専用携帯ですよ?」
「えっ? えっと、そうなんですね?」
「……なぜ2台持っているのか? と気にしていないならそれで構いませんが……念のための説明です。恋人を不安にさせたくなかったので、ね」
(また! またこの人は!!)
心の中で身悶える恋幸に顔を寄せ、手のひらを頬に添える裕一郎。
彼は捲れかかっていた恋幸のスカートの裾を空いている方の手で直してやりながら、額同士をくっつけて低く囁く。
「もう、キスしても良いですか?」
「……だめです、って……言いそうな顔に、見えますか?」
「……いいえ、見えません」
しかし裕一郎はそんな彼女をよそに、思い出したような声を出して人差し指の背で恋幸の紅色に染まった頬を柔くつついた。
「八重子さんに電話をかけた時に使っていたのは社用の通話専用携帯ですよ?」
「えっ? えっと、そうなんですね?」
「……なぜ2台持っているのか? と気にしていないならそれで構いませんが……念のための説明です。恋人を不安にさせたくなかったので、ね」
(また! またこの人は!!)
心の中で身悶える恋幸に顔を寄せ、手のひらを頬に添える裕一郎。
彼は捲れかかっていた恋幸のスカートの裾を空いている方の手で直してやりながら、額同士をくっつけて低く囁く。
「もう、キスしても良いですか?」
「……だめです、って……言いそうな顔に、見えますか?」
「……いいえ、見えません」