元々、彼の顔が人並み以上に整っていることもあって、黙って微笑みを浮かべているだけでもとても絵になり、恋幸の瞳は釘付けになってしまった。


「……なにか?」


 自身に向けられている熱い眼差しに気づいたらしい裕一郎は、手に持っていたカップをゆっくりとした動きでセンターテーブルに置いてから体ごと恋幸に向き直り、少し首を傾けつつ長い指で彼女の頬を撫でる。


「……っ!? な、なんでもない、です……けど、」
「けど?」


 途端に赤く染まっていく恋幸の頬を彼の冷たい指先がついと這って、眼鏡の奥にある空色の瞳は彼女の反応を楽しむかのように細められた。