「帰るなら今の内ですよ」
「……!? か、帰りません!! 渡す物がありますし、も、もっと……一緒に、いたいです……」
恋幸の目線はまっすぐ裕一郎を捉えているが、紡ぎ落とされる言葉は終わりにかけて小さくなり、耳を澄ませていなければ周囲の雑音にかき消されてしまいそうだった。
一音残らず拾い上げることができたのは、ひとえに彼女へ向ける裕一郎の想いの深さの表れとも言えるだろう。
「……同じ気持ちで安心しました。では、行きましょうか」
その証拠に、彼の声音はひどく優しいトーンで恋幸の耳をくすぐり、つい先ほどまで色の見えなかった表情にほんの少しだけ暖かさが増したように感じた。
「……!? か、帰りません!! 渡す物がありますし、も、もっと……一緒に、いたいです……」
恋幸の目線はまっすぐ裕一郎を捉えているが、紡ぎ落とされる言葉は終わりにかけて小さくなり、耳を澄ませていなければ周囲の雑音にかき消されてしまいそうだった。
一音残らず拾い上げることができたのは、ひとえに彼女へ向ける裕一郎の想いの深さの表れとも言えるだろう。
「……同じ気持ちで安心しました。では、行きましょうか」
その証拠に、彼の声音はひどく優しいトーンで恋幸の耳をくすぐり、つい先ほどまで色の見えなかった表情にほんの少しだけ暖かさが増したように感じた。