(はゃ……)


 しかし“それ”は逆効果でしかなかった。

 裕一郎の整った顔が何の合図もなく急接近したことにより、彼女は一時的にキャパオーバーを起こしてスペースキャットもとい『スペースコユキ』と化してしまい、宇宙のどこかと電波交信を始めてしまう。

 そんな彼女の様子に裕一郎は小さく首を傾げた後、姿勢を正してから恋幸の頬を指の背でついと撫でた。


「!?」


 一応、今二人が立っている“ここ”は『公共の場』に当たり、さらには彼の職場であるにも関わらず、普段と変わりない愛情表現を受けて恋幸の肩は大袈裟なほどにびくりと跳ねる。