「倉本さん……私の罪悪感につけ込んでくれないんですか?」
「……はぁ……」


 裕一郎が顔をしかめて大きなため息をこぼすと、途端に恋幸の体は強ばり「すみません」と意味のない謝罪が口をついて出る。

 そんな彼女の様子を見て、裕一郎は大きな手で優しく頭を撫でたあと口の端をわずかに引いた。


「こちらこそ、勘違いさせてしまいすみません。貴女の言動で不快になったわけではありませんよ」
「ほ、本当ですか……?」
「本当です。愛らしいことを言われて、こんなに可愛らしい顔を見せられて……不快になる方が難しいくらいですよ」
「!?」