「えへへ……よかった。倉本さんとお揃いで嬉しいです」


 ――……“それ”は、裕一郎の理性を溶かすためには十分すぎるものだった。


「……本当は、貴女に『夢の中で私はどんな言動をとっていたんですか?』と聞きたくてここに呼んだんです」
「え!?」
「ですが、それはまた気が向いた時に聞くことにします。小日向さん、」


 彼は一旦そこで言葉を切り、眼鏡の奥にある目を細めて右手の親指で恋幸の唇を優しくなぞる。


「私を避けてしまった、という貴女の罪悪感につけ込んでもいいですか?」