これから起こる“かも”しれない『何か』に、恋幸の足がかすかに震える。


(武者震いが……)


 ものは言い様だ。

 立ちすくんだままロボットのようにギクシャクとした動きで室内を見渡す彼女とは対象的に、裕一郎は落ち着いた様子で座椅子に腰を下ろすと、恋幸の顔に目線をやって自身の足をトンと叩いた。


「?」


 座れと言う意味だろうか?
 そう受け取った彼女は、わずかに首を(かし)げつつ裕一郎の隣に正座する。