びくりと大きく肩を跳ねさせてから彼女が振り返った先にあったのは、無表情のまま片手で手招きをする裕一郎の姿。
「?」
「今から、少し時間はありますか?」
問いに対して「倉本さんのための『時間』なら“少し”どころかたくさんあります!!」と勢いをつけて返した恋幸が小走りで側に寄ると、彼は「では、こちらへ」と短く告げて踵を返した。
恋幸は何の疑問も持たずにその背中をついて歩きながら、月明かりに照らされた庭園に目をやる。
進行方向も見ずに「え!? あんな所に池がある!」などと考えていた彼女が、
「んぶっ!」
立ち止まった裕一郎の体にぶつかるのは至極当然の結果であった。
「?」
「今から、少し時間はありますか?」
問いに対して「倉本さんのための『時間』なら“少し”どころかたくさんあります!!」と勢いをつけて返した恋幸が小走りで側に寄ると、彼は「では、こちらへ」と短く告げて踵を返した。
恋幸は何の疑問も持たずにその背中をついて歩きながら、月明かりに照らされた庭園に目をやる。
進行方向も見ずに「え!? あんな所に池がある!」などと考えていた彼女が、
「んぶっ!」
立ち止まった裕一郎の体にぶつかるのは至極当然の結果であった。