(……あれ?)


 丁重にお断りさせて頂きます……その言葉を、恋幸は頭の中で何度も繰り返す。

 さすがの彼女も、二つ返事で了承してもらえると思っていたわけではないのだ。
 初対面の女性に求婚されて何の迷いもなく「はい、喜んで」と答える男性など、怪しいにもほどがある。
 そんなことくらい、分かっていた。

 だが同時に、恋幸は心のどこかで期待していたのだ。
 生まれ変わった(かもしれない)彼も、出会ったあの瞬間――……同じ気持ちを抱いてくれたのではないだろうか? と。そんな風に、夢を見ていたのである。


(恥ずかしい……)