彼が溜め息混じりにそう言った瞬間、恋幸は目を大きく見開き、陸に打ち上げられた魚かのように口をパクパク動かして息を吸う。

 それから「あえ」だの「う」だのと声にならない声を漏らした後、ごくりと音がつきそうな勢いで(つば)を飲み込んで両手の(こぶし)を握り締めた。


「きっ、聞き飽きたりなんかしません!! 何回言われても照れますけどその度にたくさんたくさん嬉しくなってます!!」


 息継ぎもせずにそう言い放った恋幸は、先ほど作ったばかりの拳2つを腰に当ててなぜか誇らしげに胸を張る。