けれどそれもほんの数秒で、彼女の目線は慌てた様子で裕一郎の瞳を再び真っ直ぐ(とら)える。

 その挙動から、彼は恋幸が今なにを思い・どうして“そう”行動したのか手に取るように理解できてしまい、心を素手で逆撫でされたかのような感覚が脳髄(のうずい)に駆け巡った。


(だめだめ! 目線、逸らしちゃだめ! 裕一郎様がせっかく喜んでくれたんだから、恥ずかしくてもちゃんと顔を見なきゃ……っ!)
「……はぁ」
「……? 倉本さん?」


 一言で表すならば――……(あお)られる。