「うう……改めまして、すみませんでした……」
「いえ、お気になさらず。ちょうど、その件でお話したいことがあります」
「……え?」


 彼に再会できたことで脳内がお花畑になっていた恋幸はこの時「ということは、もしかして……?」と、淡い期待を抱いたのだが、


「結婚の申し出についてですが……」
「は、はい……っ!」
「丁重にお断りさせて頂きます」
「はいっ!!」


 現実はそう上手くいかないものである。