「その、避けてしまって……ごめんなさい。あの、でも! 倉本様……倉本さんも言った通り、私は倉本さんのせいで不快になったりなんかしません! これには深い訳があって、」


 必死に言葉を紡ぐ恋幸を見て、裕一郎は話の腰を折ることなくただ静かに「はい」と頷いた。
 彼女の背後で、フレンチトーストが申し訳なさそうにジュウと声を上げる。


「あの、えっと……」


 裕一郎は音の方へちらりと目線をやったものの、どうやら恋幸の耳には届いていないようだった。