今日の通話中、縁人にとっては驚くことばかりである。

 今まで通りの裕一郎であれば、リモートワーク……と呼べるほどの長さではないが、必要最低限の会議を終えれば早々に「では、また会社で」と短く告げ、通話を切っていた。
 それは決して彼にとっての縁人が(わずら)わしい存在であるという意味ではなく、裕一郎の『他人に執着しない性質』が“そう”させていたのだ。

 しかし、恋幸と出会ってからの裕一郎は傍目(はため)に見ても少しずつ変化してきている。
 彼の『無表情』には最近、ごく(わず)かではあるものの感情の色が(にじ)むようになり、こうしてプライベートな事柄や素直な気持ちを打ち明けてくれるようにもなった。

 きっと本人は気づいていないであろうそんな部分を、縁人は驚愕(きょうがく)すると同時に嬉しく思っている。
 ――……なぜなら、