「……わかりました。昼食は……作って頂けるのなら“家事手伝い”さんの厚意(こうい)に甘えますが、その時は貴女の食べたい物を優先してくださいね」
「は、はい」
「では、失礼します」


 裕一郎が部屋を出て行った後、恋幸は大きなため息を吐き体育座りの体勢で自身の膝を抱える。


(恥ずかしかったからって、裕一郎様にすごく嫌な態度とっちゃった……)


 ――……その一方で、


「……あの子に何かしたっけ……?」


 肩を落としながら記憶を辿る裕一郎がいた事など、恋幸が知るわけもなかった。